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日蓮大聖人・池田大作

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後記 「池田

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

前後
7  そのために本巻で掲げられた医師の努力――「患者の話に丹念に耳をかたむける」「患者が納得のいく丁寧な説明を心がける」「患者に温かい励ましを送る」等――これらを追っていくと、決して医師という職業だけに求められる責任ではないことに気づく。「患者」を「顧客」「社員」「国民」「学生」に置き換えれば、社会の指導的立場にいる、すべての人間に求められる要件であろう。もちろん、名誉会長は医師ばかりに努力を求めているわけではない。患者にも「医師まかせ」でなく「自分が医師で、自分が看護師」との治療への主体的な自覚と行動をうながしている。
 高齢社会が進展するなかで、医療費の増大が指摘され、国民が安心できる社会保障制度の確立が模索されている現在、「自分の健康は自分で守る」との意識は、今後ますます必要とされることだろう。
8  全編を通して、おそらく読者が感じるであろうことは、とにかく「わかりやすい」という点である。
 かつて戸田記念国際平和研究所所長のテへラニアン博士は、名誉会長との対談で語ったことがある。
 「名誉会長の天才的な才能は、複雑な哲学をも、わかりやすい『物語』に翻訳して人々に伝えることができる点ではないでしょうか」「人々は、わかりやすい『物語』には耳をかたむけます。しかし、むずかしい哲学的な話は寝てしまいます」
 概して医学書は用語が難解で、一般の読者にはなじみがない。しかし本巻は、決して専門性におちいることなく、現代医学の豊富な「知識」を雄弁に伝えている。
 名誉会長は語っている。
 「どんな正しい思想も、人々が聞いてくれなければ、読んでくれなければ、力とならない。人々の胸に入っていくように工夫する――それが創価の智慧です」と。
 「疲れたら、年齢に応じて、よく休むこと。寝ることも戦い」「『風邪をひかないぞ』と決意することで抵抗力が高まる」「生活習慣病をさける、教養ある食生活を」「寒いときに外出するさいには、『これから寒い外に出るんだ』と意識して出る」等々。
 たしかに、名誉会長の語る「健康の智慧」の数々は、だれもが実践できる具体的なアドバイスだが、いずれも深い哲学に裏打ちされた重要な指針ばかりである。読者は、その一つ一つから「友に一日でも元気で長生きしてほしい」「二十一世紀を、人類が健康を満喫できる社会に」との深い慈愛を感じることであろう。
                      二〇〇八年五月三日

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