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日蓮大聖人・池田大作

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ストレス 前向きで「プラス思考」が大切

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

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11  周囲も「わかつてあげる」配慮を
 豊福 ええ。ストレスで心身が疲労しきっているときは、強烈な激励は、かえって逆効果です。
 池田 壮年の場合、家に帰るなり、「あなた!」とやられるのでは、たまったものではありませんね。(笑い)
 森田 同じ壮年として、同情せざるをえません。(笑い)
 池田 粘り強く、静かに話を聞いてあげ、「わかってあげる」ことが大切ですね。
 豊福 周囲の人、とくに家族の人の理解や思いやりは不可欠です。仕事でいつも、ご主人の帰りが遅い場合には、夫婦で深夜のお茶の時間を設けるとか、コミュニケーションをとる工夫も必要でしょう。
 池田 奥さま方も、ある意味で、おおらかに、温かく、ご主人を包容してあげていただきたい。ただし、ストレス解消と称して、毎晩のように「うさ晴らしに一杯」――こんな夫には″攻撃″が必要です。(笑い)
 森田 同情の余地はありません。(笑い)
 豊福 「やけ酒」「やけ食い」は、ストレス解消どころか、かえって健康を害します。
 池田 睡眠も、ストレス″薬″ですね。
 森田 これは大事です。「ストレスがたまったかな」と思ったら、ともかく「適度な休養をとる」ことです。
 豊福 「休養」には、睡眠、栄養、入浴や軽い運動などがふくまれます。軽いストレスならば、無理をせず、十分な栄養をとって休めば、やがて回復します。
 池田 そうは言っても、仕事などに追われていると、なかなかむずかしい。
 森田 そうですね。価値的に時間を使って、上手に気分転換していただきたい。一日のうち十分でも、十五分でも、リラックスできる時間を持つことです。音楽、趣味など自分なりの方法でかまいません。
 豊福 仕事や家事をする時間と、リラックスする時間とを分けて、「生活にメリハリをつける」ことです。
 池田 眠ろうと思っても、疲れきって眠れないこともありますね。
 森田 ある一定の、ストレスの状態を超えると、いくら一生懸命に気分転換しても、「かえって、疲れてしまう」「いっこうに気分が晴れない」という状態になります。
 豊福 そうなると危険信号です。「疲労」を通り越して「過労」の状態にあるのです。
 池田 仏典にも、病気の誘因として、「疲極ひごく(極度の疲労)」(「仏医経」)というのが、あげられています。最近、「過労死」も話題になっていますが、やはりストレスが関係していますか。
 森田 直接の死因は、たいてい、心筋梗塞や脳卒中です。糖尿病や高血圧という慢性の病気があって、慢性疲労状態になり、さらにそのうえに、過剰な肉体的、精神的ストレスが加わって起こる場合が多いようです。
 豊福 「夜、眠れない」「気分が沈んでしょうがない」といった場合や、「片頭痛」などの症状がはっきりしている場合は、迷わず心療内科などの専門医に相談するとよいと思います。
 池田 競争社会や技術革新に追いつくために、心身の不調を訴える人は増え続けるばかりです。ストレス病の解決を、個人の責任にだけ委ねることはできない状況にきているとも言えるでしょう。企業として、また社会として、何らかの取り組みが必要ではないでしょうか。
 森田 そのとおりだと思います。近年、企業でも、精神科や心療内科の医師と契約したり、カウンセラーを社内に常駐させるなど、社員の心の健康に配慮するところが増えています。
 池田 実際、ストレスに気づかないでいて、病気になることもあるでしょうね。
 森田 はい。ストレスによる、心身への影響が出つつあるのに、″気づけない人″がいます。
12  無理は長続きしない
 豊福 「頑張りタイプ」や「気配りタイプ」に多く見られます。環境に対し″過剰に適応″してしまうのです。
 池田 無理して、自分を追い込んでしまうわけですね。無理と真剣とは違う。「無理」は、長続きしません。「真剣」は、道理にのっとった着実な前進です。
 豊福 やはり、自分の心身の状態を客観的に見ることが必要だと思います。
 森田 先ほど、「休養」が必要だと言いましたが、だからと言って、家でだらだら寝ているだけで、リフレッシュできるとはかぎりません。
 豊福 むしろ、何かに打ち込むほうが、心身を生き生きとさせます。
 池田 そう。心につ張り」があり、何かに真剣に取り組んでいれば、ストレスに負けない力が出る。ぼうっとして油断していると、心にスキができる。そこをストレスにやられてしまう。
 豊福 ウイルスや病原体も、まさにそのスキを狙ってきます。
 池田 「受け身」にならないことです。受け身になると、追いつめられてしまう。「攻めの人生」というか、自分で納得できる何かに挑戦する。夢に向かつて進む――そういう闘争心、情熱。それがストレスを乗り越える力になる。
 その意味で、根本的には、心を満たす「生きがい」を持てるかどうかだと思います。人生哲学の問題になってくる。
 森田 そのとおりだと思います。また、ふだんとは別の人間関係のなかに身を置くことで、自分とは違う経験を持つ人とふれあい、リフレッシュできる場合があります。
13  「ストレス」をバネに「新しい自分」を――仏法は「煩悩即菩提」と説く
 池田 自分の世界を大きく広げていける。眠っている「新しい自分」を呼び覚ますことができる。人生を何倍にも楽しむことができますね。
 森田 こうしてみると、学会活動は、まさに「ストレス解消」にも、なるわけですね。(笑い)
 池田 仏法には一切、むだがないのです。もちろん、信仰したからといって、ストレスがなくなるわけではない。ある面では、人のために悩むことは、深い疲労をともなうことも事実です。しかし、だからこそ崇高なのです。だからこそ「より健康な」生命になれるのです。
 仏法では「煩悩即菩提」と説きます。人生に悩みは尽きません。悩みがあるからこそ、努力するし、進歩するいわんや妙法によって生命力を強めれば、すべての「煩悩」が即「菩提」となっていく。悩みが智慧に変わり、幸福に変わっていくのです。ストレスも同じです。ストレスがあるから、健康も注意できる。ストレスをバネに、自分の境涯も広げていけるのです。
 仏の別名を「能忍」と言います。すべてを「能く忍ぶ」「耐えて乗り越える」――その強さ、生きぬく力が、仏の境涯なのです。おおらかな積極人生で、「ストレス社会」を悠々と生きていきたいものです。

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