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日蓮大聖人・池田大作

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風邪 「万病の元」だからこそ注意を

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

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3  疲れをためない、抵抗力をつける――病は「四大の不調和」から
 池田 仏法では「回大の調和」を説きます。古来、インドでは四大、つまり「地」「水」「火」「風」の四つの要素でとらえる生命観があった。「地」は骨や毛、歯、筋肉を、「水」は血液などを、「火」は体温を、「風」は呼吸をあらわし、これらが和合したものが人間と説いています。そして身体の病は、この「四大の調和」が乱れることにあると説いています。(「摩訶止観」)
 森田 医学的に言えば、「四大の不調和」によって、抵抗力が低下してきます。そこにウイルスが感染し風邪をひくと言えるでしょう。
 豊福 抵抗力の低下の原因には、いろいろあると思いますが、おもに疲労や不摂生などが考えられます。
 池田 大事なのは、疲れをためないことです。これは、すべての病気の予防に通じます。疲れたら早めに休む。その日の疲れは、その日のうちにとる。それも健康のための戦いです。無理と強信とは違う。
 無理は長続きしないものです。
 風邪の予防法として、うがいや手洗いも大事ですね。
 森田 そのとおりです。くしゃみやせきで飛び散ったウイルスは、「吸い込んだり」「手から口に入つて」感染するので、こまめに行っていただきたい。
 豊福 マスクも、ほとりを防いだり、のどに湿気をあたえる効果があります。また予防法には、人ごみをさけるというのがあります。そのとおりなのですが、それだけでは、通勤や買い物、会合など、実際生活ができなくなってしまいます。
 森田 むずかしいところですね(笑い)。体の抵抗力を強くするしかないわけですが……。
 豊福 流行時に風邪のウイルスがいちばん多いのは病院です(笑い)。だからといって、医師や看護婦が風邪になるとはかぎりません。
 池田 抵抗力を強くすることですね。乾布摩擦や冷水摩擦も風邪の予防によいと言われていますが。
 森田 皮膚を刺激すると、体に緊張感をあたえ、自律神経を刺激して、体の抵抗力を高めます。冷水摩擦も同じです。手首や首筋など、外気にさらされる部分だけでも効果があります。水で顔や手を洗うこともいいですね。
 豊福 いつもお元気で、はつらつとしている多宝会の方に、日常、気をつけている点をうかがったことがあります。そのなかに「風邪をひかない」というのがありました。
 池田 日ごろから、意識しているか、いないかで大きく違うものです。乾布摩擦は皮膚を通して体を引きしめる。
 一方、「風邪をひかないぞ」という決意は、心の側から全身の神経を刺激して抵抗力を高める。心が動けば、その方向に頭脳も体も動きだすのです。
 森田 風邪と言えば、忘れられない光景があります。第二回の世界青年平和文化祭(一九八二年九月、当時の埼玉・西武ライオンズ球場)のときのことです。開会前から、雨が降っていました。そのなかを、池田先生はグラウンドを一周されました。ある来賓は、「名誉会長はいったい、どんな言葉をかけるのだろう」と思って見ていたそうです。何か、雨なんかに負けずに頑張れといった言葉を予想していたようです。
 ところが池田先生は「皆さん、本当にご苦労さま。風邪をひかないよう、工夫してくださいね」と。優しい心のこもった声を聞いて、「あの姿こそ、本当の指導者の姿だ」と感動していました。
 池田 当然のことをしただけですが……。友の健康が第一です。皆が日々を健康で、生き生きと社会で活躍することが根本です。私は、いつもそのことを祈っているのです。
4  御書では風邪を「風気」と表現
 森田 ところで、なぜ「風邪」というのでしょうか。
 池田 中国の古典によると、「外気」が「邪(気を乱すもの)」となって病気を起こすのを、「風邪」等と呼んだようです。(『西洋医学大事典』参照)
 森田 日蓮大聖人も風邪をひかれたのでしょうか。
 豊福 実際にひかれたかどうかはわかりません。ただ鎌倉時代にも、現在の「風邪」を意味すると思われる「風引き」「風気」等の病名が記録に残っています。
 池田 御書にも、「日蓮鎌倉に罷上る時は門戸を閉じて内へ入るべからずと之を制法し或は風気なんど虚病して罷り過ぎぬ」と仰せです。これは、「病気の原因を知らない人が病気を治療すれば、いよいよ病気は倍増するであろう」との指摘です。
 「風邪の治療薬を発見すればノーベル賞もの」と言われるが、特効薬はありますか。(笑い)
 森田 残念ながら、まだノーベル賞は遠いようです。(笑い)
 池田 病院でもらう薬や、市販の薬はどうですか。
 豊福 現在の薬は風邪そのものを治すのではなく、頭痛、発熱、鼻水、せき、くしゃみといった「症状」を和らげるものでしかありません。
 森田 薬を補助的に使い、保温、休養、水分、栄養を補給して、自分の自然治癒力で治すのが、風邪の基本的な治療法です。
 池田 「休養をとる」ことですね。しかし多忙な現代人には、なかなかむずかしそうですね。
 豊福 無理は事故のもと|――そう銘記して、少しでも早く休めるように努力してほしいと思います。また休めなくとも、体を冷やさないようにして、栄養を十分にとることを心がけていただきたい。
5  「発熱」は防衛反応
 池田 なぜ、風邪のときに熱が出るのでしょう。
 豊福 風邪を治そうとする防衛反応が発熱です。体温が高くなるとウイルスの活動が鈍くなるのです。
 池田 水分の補給は、お茶でもいいのですか。
 豊福 緑茶や紅茶にはカテキンという物質がふくまれていて、ウイルスの感染予防に効果があると言われています。
 池田 アルコールで補給する人もいるようですね。(笑い)
 豊福 卵酒程度ならかまいません(笑い)。アルコールは飲んだ量以上に、水分が尿として排泄され、その後は脱水ぎみになります。
 森田 薬を飲んでいるときのアルコールは禁物です。薬の効果が強くなったり、悪酔いすることがあります。
 池田 お風呂はどうでしょう。
 豊福 入浴は体力の消耗や湯冷めの心配があるので、とくに、熱のあるときは勧められません。
 池田 風邪のときは、どんなものを食べればいいのですか。
 森田 ひき始めは、鍋料理や煮込みうどんなど、体を温めるものが望ましいです。せきが出るときは、豆腐を使った料理やゼリーなど、のど越しのよいものを。鼻がつまっているときは、温かい雑炊やうどんなど、湯気が立つものです。
 豊福 熱があるときは食欲がないので、フレッシュジュースやプリン、アイスクリームなどで水分を補給するとよいでしょう。下痢がひどいときには、無理に食べる必要はありません。ただ、下痢、発熱は脱水症状を起こしやすいので、水分だけはしっかりとることが大切です。
 池田 満々たる生命力をたたえ、四大を整える――風邪の予防も、治療も、「心身の調和」をもたらす聡明な生活が根本のようですね。

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