Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第2章 子どもを叱るとき  

「21世紀への母と子を語る」(池田大作全集第62巻)

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9  池田 それはよかった。本当にうれしい。
 子どもを立派に育てているお母さんに共通するのは、「子どもを社会に役立つ人間に育てよう」という心、そしてその「誓い」の深さのようだね。
 「過保護」の親、「放任」の親、いずれもよくないが、もとをただせば、親のエゴです。子どもを「自分の所有物」のように考えるところから、両極端が生まれるのです。
 子どもを「広宣流布」という社会貢献の人材に――この「誓い」があれば、エゴに陥らない。また、子どもがどのようになろうとも、決してあきらめたりできない。
 私がここまでやってこれたのも、戸田先生との「誓い」があったからです。
 戸田先生の故郷・厚田村で、大海原を前に、先生は、私にこう言われた。
 「この海の向こうには、大陸が広がっている。東洋に、そして、世界に、妙法の灯をともしていくんだ。この私に代わって」
 「戸田先生に代わって」――この誓いが、私のすべてです。
 師との誓いを胸に、これまで、必死の思いで走り抜いてきました。嵐の中も、猛吹雪の中も、ただ「誓い」を果たそうと。世界中のあらゆるところで、飛行機の中でも、ホテルにいても、車中にあっても、題目をあげながら。
 「師との誓い」であるがゆえに、「あきらめる」などということは、考えもしなかった。
 次元は違うけれども、子育てにも、同じことが言えるのではないだろうか。
 高柳 私たちも、「誓い」を忘れてはならないと深く決意しています。
10  「子どもの未来」を子育ての基準に
 池田 広島の中国平和記念墓地公園にある「世界平和祈願の碑」にも、「母と子」の像が立っています。
 佐藤 世界的な彫刻家である、フランスのルイ・デルブレ氏が制作したものですね。
 「建設」「寛容」「勇気」「希望」「後継」「歓喜」の六体の像からなっています。
 池田 そうだね。そのうちの、「後継」の像は、足を伸ばして座った母親が、小さな子どもを両手で抱き上げ、前のほうへ、さしだす姿をしている。
 この像について、デルブレ氏は、こう言っている。
 「子どもを生み育てる根源的な存在としての母親。
 そして、未来世紀を担い、大いなる希望をもって成長していく姿を、母親にかざされた幼児として表現しています。
 母親にとって子どもは、自分の所有物でも、付属物でもありません。
 未来を拓くため、世界の平和のために捧げ、送り出していくのです。
 幼児も一人の人間として、きりっとした表情をしています。後継の使命を決意し、自覚していることを、両手を横に広げて表現しているのです」
 高柳 大変、深い意味が込められているのですね。私たち母親の根本的な生き方が、芸術として崇高に昇華されていると感じました。
 池田 「親のエゴ」ではなく、「子どもの未来」を子育ての基準にしていかなければなりません。
 子育ては、長い目でみなければ分からない。「子どもの今」を満足させるだけでなく、「子どもの未来」をしっかりと見すえていくのです。
 そうすれば、「叱るべきとき」も、おのずと分かるのではないか。
 子どもは、自分を映す鏡です。子育ては、子どもも、自分もともに成長してゆく崇高な作業なのです。

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