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日蓮大聖人・池田大作

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創価学園1 中学校・高等学校[昭和61年度]

教育指針 創価学園(1)(池田大作全集第56巻)

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8  創価中学・高等学校 第十七回卒業記念謝恩会〈昭和62年3月16日〉
 努力の青春に人間の栄冠
 私は今まで、世界の四十力国を訪れましたが、ブルガリアにも、ルーマニアにも、アメリカにも、ソ連にも、どこの地にあっても、ありがたいことに創価学園の出身者がいました。「私は何期生の学園生です。学園時代はあまり勉強はできなかったけれども、今はこうして頑張っています」と笑顔であいさつに来る。これは驚くべき事実であり、私は大変にうれしい。
 ともかく学園の卒業生は、私にとって子どものようにかわいいのです。このうえなく大切な宝である。全国には多くの学校があり、他校の卒業生に対し、不公平だと叱られるかもしれません。しかし、創立者として、学園生こそ、もっともかわいく、大切な存在であると申し上げておきます。
 学園生であるということは、たとえていえば、戸籍のようなものです。自分の戸籍が生涯、消えないのと同じように、「学園生」であるという戸籍は、一生涯、消えません。また、これからずっと子や孫の代になっても、「学園生」という社会的戸籍は消えることがないのです。
 諸君の先輩は、世界中で自身に挑戦しながら、後輩の道を切り開いてくれています。この姿こそ「負けじ魂」です。諸君は、この学園で培った「負けじ魂」を、生涯失ってはならない。なかには、今はどうも成績がパッとしない、という人がいるかもしれません。
 しかし、十年さきに勝てばよいのです。二十年さきに勝てばよいのです。あるいは、五十年さきに勝てばよい場合もあります。これが、創価学園の教育の根本精神です。「負けじ魂」です。目先のことで行き詰まって倒れたり、くさったりせず、生き生きと前へ進んでいっていただきたい。悩みとの戦いこそ、人生です。
 大切なことは、自身の確かな軌道をまちがえないことです。着実なる人生の軌道を見失わないことです。一時的に何があろうとも、「絶対に負けない」という一念をもち続けるならば、かならず勝利の方向へと、最後は完結しゆくことはまちがいありません。さまざまな環境に屈することなく、強く豊かな「自分自身」を築きあげる生き方にこそ、勝利の人生の基本があることを申し上げ、お祝いの言葉とさせていただきます。
  
 (帰路において)
 東京の創価学園も今秋、創立二十周年の佳節を迎えることになりました。教員の先生方もみな、教育に対する情熱と知性、また人格のうえでも、こよなく優れた方々ばかりであり、本当にうれしく思います。きょう卒業した十七期生も、すばらしい生徒ばかりでした。
 また新栄光寮では、全寮生と対面しましたが、大変にすばらしい生徒たちでした。これを思うにつけ、私は心の底からうれしいし、幸福者だと思います。
9  関西創価中学・高等学校 第十二回卒業式(メッセージ)〈昭和62年3月16日〉
 「根本の使命」を胸中に
 晴れの卒業、本当におめでとう。皆さんの胸は、新たな旅立ちへの期待でいっぱいのことでしょう。どうか、青春の学舎で勉学と友情を深めつつ、胸中に刻んだ「根本の使命」だけは、絶対に失うことなく、新たな世界へ勇んで飛翔していってください。
 トロヤ文明、ミケネ文明の発見者として知られるハインリッヒ・シュリーマンは「トロヤやミケネの墳墓を発掘した私の鋤と鍬とは、幼少の時に最初の八カ年を過したドイツの小村で早くもきたえ磨かれていたといってよい」(『古代への情熱―シュリーマン自伝』村田数之亮訳、岩波文庫)と記しています。
 彼は、少年のころ、父からトロヤ戦役伝説の物語を聞くうちに、いつしかその実在を確信し、遺跡発掘を生涯の目標とすることを誓ったのであります。しかし彼は、たんに夢想に生きるだけの空想的ロマンテストではありませんでした。ロマンを実現するために、現実に挑戦し続けたリアリストでもありました。
 十四歳で実業中学校を卒業し、小さな商店に奉公してからの彼の人生は、努力、努力また努力の連続でありました。その努力のなかで貧困と不遇を克服。また十数力国語をマスターし、経済的にも成功し、四十六歳にして初めて発掘に着手、ついに少年の日の夢を実現しました。
 「努力は天才の異名である」といわれるように、努力なくして偉大な仕事を成し遂げた人はいません。皆さんも、これからさまざまな問題にぶつかり、悩み、試行錯誤を繰り返すかもしれません。しかし、そのときこそ「わが使命の開拓の鋤は、あの学園生活の春秋で早くも鍛え磨かれているのだ」と確信し、それぞれの使命の庭で、現実に挑戦しゆく努力を積み重ねていっていただきたい。
 ともあれ、私は皆さんを信じております。そして生涯、皆さんを守りぬいてまいります。皆さんこそ私の希望であります。愛する皆さん方のご健康と精進を祈りつつ、はなむけのメッセージとさせていただきます。

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