Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

創価学園1 中学校・高等学校[昭和57年度]

教育指針 創価学園(1)(池田大作全集第56巻)

前後
9  関西創価中学・高等学校 第八回卒業記念謝恩会〈昭和58年3月14日〉
 強く聡明に自身の成長を
 教育について、もっとも理想的で、多くの指導者を出したのはイギリスです。そのイギリスの著名校のほとんどは私立です。それは、私立学校は、創立の精神に基づいて思う存分に、創立者、教育者と生徒が一体になっていくことができるからです。
 しかし、今日の社会には、理想的な私立の学校をつくろうとか、教育をしようという流れがなくなってしまいました。そうなると、たしかに一部の才能は伸びるが、全体人間として調和のとれた教育はむずかしく、知識偏重の人間が多くなってきます。それが今日、教育が全面的に行き詰まってしまった理由です。
 そのような教育界にあって、創価学園は、後輩のためにも、本当に大切で重要な金字塔であると確信しております。
 社会に一歩出ると、数々の厳しいことがあります。そのことをよく認識しておかないと、大変な目にあってしまいます。そのためにも、自分を強くし、また厳しい社会を聡明に悠々と見極めながら、自分自身の成長と幸福の大成の山に、一歩一歩、登っていただきたいと思います。
 卒業生の皆さんは、どうか母校である学園を心から愛し、大切に守っていただきたいのです。皆さんが、これから十年、二十年と、順調に成長することを毎日祈っております。これからはいろいろなことがあると思うが、負けてはいけません。どんなことがあっても、負けてはいけない。自分で生きることです。
 また、親に心配をかけてはいけません。親の苦しみというものを、痛いほど自分で感じられるようになったときに、その人は立派な人間になれるのです。それを感じられないような人は、人間として何の資格もありません。親の痛みを自分自身で感じられる人が、人間として偉大な人なのです。
10  創価中学・高等学校 第十三回卒業式(メッセージ)〈昭和58年3月16日〉
 魂のこもった悔いない青春を
 開校記念のこの佳き日に、わが学園を巣立ちゆく諸君、そしてご両親に、心からお祝いを申し上げます。
 諸君のほとんどは、これから高校、そして大学へと進学してまいります。その新たな学舎に、新たな決意で臨もうとする諸君にとって、平凡ながらもっとも大切だと思うことを、私は申し上げておきたい。
 その一つは、「ともかく自分を大切にする」ということであります。「自分」という一個の生命は、他のだれともかえられない尊い存在であります。自分を大切に、とはだれしも思うことでありますが、それと裏腹に、結果として自分を粗末にしている例があまりに多い。
 ドイツのある作家は「魂のこもつた青春は、決してそうたやすく滅んでしまうものではない」(ハンス・カロッサ『指導と信徒』高橋義孝訳、『現代世界文学全集28』所収、新潮社)と述べております。鍛えのない、わがまま放題の青春はもろく、はかない。諸君はどうか、いかなる場合にも自分を誇りに思い、一瞬一瞬に充実感を覚えるような、「魂のこもった」悔いない青春を生きぬいていっていただきたい。
 次に、「ともかく親を大切に」ということであります。自分の尊さがわかれば、それだけ親の恩も深く感じられるはずであります。「子をもって知る親の苦労」、あるいは「親孝行したいときには親はなし」というのも、若いうちは、なかなか親のありがたさがわからないがゆえでありましょう。
 では、親を大切にするとはどういうことか。端的にいえば、余計な心配、苦労をかけないということだと思う。それがまた、諸君が大人へと自立する責任の証にもなる。どうか諸君は、いつ、いかなるときにも、親の痛みをわが痛みとしていける思慮深い生き方をしていただきたい。
 次に、「友を大切にする」ということであります。これは、自分を大切にすることと相反するようでありますが、決してそうではない。ギリシャの哲学者であるゼノンは「朋友とは自分以外の自己をいう」という言葉を残しました。これは、友人もまた、自分と同じく大切にすべきであるという意味であります。よき友をもつことは、どれほど自分自身の歴史に思い出深い金のページを残しゆくものであるかわからない。
 最後に「『学は光』であるという一点を忘れてはならない」と申し上げたい。受験制度への反動からか、このところ、ともすれば学ぶ意欲、姿勢がおろそかにされる傾向が見られますが、私は残念でならない。学ぶことは、永遠に自分の権利であることを決して忘れてはならない。ゲーテは、こういつております。
  「三千年の歴史から
   学ぶことを知らぬものは
   知ることもなく、やみの中にいよ、
   その日その日を生きるとも」(『ゲーテ格言集』高橋健二訳編、新潮文庫)
 学ぶ姿勢なき人生とは、目的観もなく、波の間に間に、その日暮らしを続ける、木の葉のようにはかないものであります。むしろ諸君の人生は、どんなに風雨が襲いかかろうともびくともせぬ、大樹のごとき、根を張った生き方であっていただきたいと申し上げ、私のメッセージといたします。

1
9