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日蓮大聖人・池田大作

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昭和三十五年(一月)  

「若き日の日記・下」(池田大作全集第37巻)

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28  一月二十九日(金) 快晴
 午前中、先生のご遺族と談合。
 夕刻、本部にて、理事懇談会。
 小生、風邪気味にて、気分悪し。
 九時過ぎ散会。
 学会の首脳は、時を知り、時に対応せねばならぬ。
 私は一生涯、学会幹部、後輩を護ってあげよう。若手の理事たちの健康を心配する。
 「寒山詩」を読む。
  貧人好聚財  貧人の財を聚むるを好むこと
  恰好梟愛子  恰も梟の子を愛するがごとし
  子大而食母  子大にして母を食う
  財多還害己  財多ければ還って己を害う
  散之即福生  之を散ずれば即ち福生じ
  聚之即禍起  之を聚むれば即禍起こる
  無財亦無禍  財なくして亦禍なし
  鼓翼青雲裡  翼を鼓つ青雲の裡
    *
  人生不満百  人生百に満たざるに
  常懐千載憂  常に千載の憂いを懐く
  自身病始可  自身病い始めて可えにしに
  ‥‥‥‥‥   ‥‥‥‥‥‥‥      (読み下しは編集部で補足)
 『三隠詩集』というときは、寒山と豊干、拾得の詩を併せていうなりと聞く。私は、杜甫の詩のほうをはるかに好む。
29  一月三十日(土) 快晴
 午前、午後にわたり、本部の幹部と打ち合わせ。
 指導、教示、叱咤、激励。多忙なり。
 東京四時三十五分発の電車にて、熱海へ。父の招待。
 妻、城久の三人にて。
 D荘より自宅がいいと、子供はいう。
 あくる朝、熱海域へ。実に面白くなし。
 四等国の遊園地かと、いえる人あり。
 身体の調子悪く、自宅まで車で。
 途中、吐き気あり。子供も。
 六時少々前、帰宅。すぐ横になる。
 運動をせねば。少々読書。
 『平家物語』‥‥
 平家の滅亡は悲劇であった。その根本原因はいずこにありや。深く分析、思考する要あるなり。逆境にある人生に、美しく、端然たる人あり。その名、薩摩守忠度、その人か。平家一門のなかに、冴え映える青年将軍よ。詩人将軍よ。激動と逆濤にありて、われもかくありたし。
 戦死、覚悟の詩人と、俊成卿との会見。一幅の生ける絵のごとし。生ける人生劇場の縮図にやあるらん。悠々たる作詩。優遊たる心境。その出陣に見る毅然たる態度。和歌それ自身の姿。われ感動あり。

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