Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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古代の遺産
「わたしの随想集」「私の人生随想」「きのう きょう」(池田大作全集第19…
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一人の人間の脳細胞同士の組み合わせの数は、全宇宙の原子の数よりも多いと、なにかの本で読んだことがある。事実とすれば、宇宙のすべての分子の運動を知っているという「ラプラスの鬼」とは、ほかならぬ人間自身のことであったということになるかもしれない。
考えようによっては、人間一人の生命には、無限の宇宙の宏大さも、悠久長遠の時間の流れも、見事に凝縮されているのかもしれない。もし古代人が、天体の運行を、人間の生命のリズムに欠かせないものとしてとらえ、そのゆえに、死者に与えられる世界として、やはり二十八宿の大宇宙を描いたのだとすれば、その鋭い直観智に、あらためて敬服したい。ともに、狭いエゴや目先のことばかりに拘泥して、宇宙と直結した、偉大な生命の宝庫を開発しようとしない現代人の浅慮を慚愧せずにはいられない。
飛鳥の古墳は、研究が進むにつれて、古代人の生活や精神の内面にまでかかわる資料を豊富に示してくれるにちがいない。考古学とは、古代を調べることによって、現代人が置き忘れているもの、人間のさまざまな知恵を再発見することにも、一つの重要なポイントがあると思う。
人生の辛苦、そして喜びは千載に変わらぬものである。であれば、そこに生きる人間の知恵も、共通の地盤があるはずだ。われわれの遠き先輩たちが、遺してくれた文化の輝きからうけた久しぶりの充実感を、どのように自己省察の鏡とし、現代に息づかせていくべきか。 ──少なくとも、この万葉の地を、観光客の傍若無人な振る舞いで台無しにするような浅ましさだけは、慎みたいものである。
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