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日蓮大聖人・池田大作

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写真家三木淳氏  

「私の人物観」(池田大作全集第21巻)

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5  同年五月のある夜、私は東京・白金台のご自宅に、退院してまもない三木さんをお訪ねした。気力は相変わらず確かだが、体力がともなわず、内心やや焦っておられるようにもお見受けした。しかし、大変に喜んでくださった。病院での苦闘をともにされた奥さんも、ひとまず安堵しておられる様子であった。
 それから三年後の五月、すっかり元気を取り戻して取材にこられた三木さんとお会いした。もともと感情量の豊富な人である。目と目が行き合うと、涙がきれいに光っていた。
 「お互いに、もう少し長生きしましょうよ」――そう申し上げて三木さんの手を握る私も、胸が熱くなった。
6  カメラを手にする者は、現象世界の奥の深い心に目を凝らす。そうすることは、自分自身の心をつかみ、表現することにほかなるまい。それは、すでに詩人であり、芸術家の行為である。
 三木さんは、詩人としての感受性豊かな皮膚と、トビ職人のように強壮な心臓と、子供のように純真な魂を併せもっておられる。今はますますお元気で大学の教壇に立たれるなど活躍されているようで、なによりと思う。死との対決という決定的瞬間を生命の映像に刻まれて、三木さんはいよいよ同熟味を加えられているようだ。

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