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日蓮大聖人・池田大作

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第三次大戦は阻止できるか  

「私はこう思う」「私の人生観」「私の提言」(池田大作全集第18巻)

前後
4  第三は、現代の科学文明が、もはやかつてのように、植民地や属国を必要としなくなっていることである。領土の拡張、勢力圏の膨張という戦争の最大の原動力が、今ではほとんど用をなさなくなってしまったのである。
 もとより、今日でも、この野心を捨てきれないでいる民族がないわけではない。しかし、科学技術の発達は、そうした過去の図式がもたらす富の何十倍、いなおそらく何百倍の繁栄を約束してくれることが実証されている。加えて、世界的な民族意識の高揚によって、植民地や属国を維持するには、たいへんな費用と国民の犠牲が必要となってきた。
 フランスは、インドシナやアルジェリアを植民地として維持するために、膨大な支出を重ね国威の失墜を招いた。ようやく、繁栄の方向に転ずることができたのは、これらの植民地を手放して、住民の自治に任せてからのことである。
 イギリスも同じように、大英帝国の威信を守るために苦悶をつづけた結果、広大な植民地を振るい落とすことによって、起死回生への道を求めている。言いかえると、今日においては、植民地や属国は、重荷でこそあれ、決して宝庫ではないことが証明されてきているのである。
 かりに、原材料を手に入れるにしても、正式な貿易取り引きによって購入する費用と、植民地収奪によって、それ自体はタダ同様でも、治安維持のための軍事的出費とを比べると、後者のほうがはるかに割高になってしまう。結局、泥棒稼業は、どんなにボロ儲けのようにみえても、儲からない仕組みになっているようだ。
 生産地の側にとっても、奴隷的に働かされるより、主体性をもって自己の利益のために働くほうが勤労意欲もわく。意欲がわけば、力も入り知恵もわく。したがって能率も、はるかによくなってくるのは当然であろう。
 第三次世界大戦が、起こりうるかどうか、ということは、現代人の重大な関心事である。もし起これば、この世界は破滅し、人類は絶滅することは間違いない。絶対に起こらないとは断定できぬが、起こりにくくなっていることは事実であり、その条件を考えれば、回避できる可能性も大きい。それは、人類の英知を信じて努力する以外に、どうしようもあるまい。

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