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日蓮大聖人・池田大作

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5 青少年の非行  

「21世紀への人間と哲学」デルボラフ(池田大作全集第13巻)

前後
12  デルボラフ 今日の享楽主義志向の文明社会、つまり刺激的なポルノ雑誌から過度の暴力にいたるまで、あらゆる遊びによる快楽と娯楽が商業化されている今日の社会で、環境整備を訴えても無益であるという点では、私たち二人の意見は一致しています。
 もっとひどいことに、この誘惑にみちた社会環境は、家庭や「隣人関係」における従来の道徳規範をも、別の仕方で毒しています。一方ではマスコミが、犯罪や汚職によって、いかに早くお金、財産、富裕、名声等を獲得できるかを教えます。他方では、マルクス主義によって鼓吹された社会批判的イデオロギーが、私有財産を「合法的窃盗」と誹謗し、それを尊重する従来の精神的態度を破壊しつつあります。
 こうした好ましからざる影響に対して、子どもや青少年に免疫性をあたえることは、現状では「敬虔なる願い」と映るかもしれません。しかし、その是正は、もっと人生の早い時期にはじめれば、できるかもしれません。つまり、あなたが強調しておられるように“倫理教育の細胞”であり、“母なる大地”である家庭においてです。
13  私は、先にも述べましたように、家庭には二重の課題があると考えています。子どもは、親の生活信条を何の疑いもなく自分のものとする段階では、愛情を必要としています。やがて、家族から離れ、若者同士の友だちづきあいに入っていく段階では、自己実現への手がかりを得るための援助を、必要とします。
 善きにつけ悪しきにつけ、この友だちづきあいがどういう意味をもつかは、たとえば、非行少年グループや、人生の指針や心の故郷を失った若者を、あたかもほんとうの集団生活をにおわせて、うまくひきつけているユーゲントゼクテに見ることができます。また、実りある社会奉仕活動をおこない、緊急事態のさいには、ほんとうに献身的に従事するような青年組織にも認めることができます。
 こうして見てきますと、今日、政治的・社会的・個人的側面から、家庭が破壊されないように配慮することが大切です。また他方、青少年の友だちづきあいの監督と健全化、また、その生産的活動を援助することも必要です。もちろん、こうした配慮や援助によって、現代社会の不安というものの付随現象としての青少年犯罪が、絶滅できるわけではありませんが、それでも、ある程度抑えることはできると思います。
14  ユーゲントゼクテ
 主に青少年、少女を対象にした危険なセクトとみられ、七〇年代にドイツでも社会問題となった新宗教運動の総称。

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