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日蓮大聖人・池田大作

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4 子どもの教育  

「21世紀への人間と哲学」デルボラフ(池田大作全集第13巻)

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9  池田 非常に残念なことですが、今日、日本では、家庭内暴力や校内暴力の問題が深刻化しています。十四、五歳から十八歳ぐらいの少年少女が、家庭のなかでは母親に対して暴力をくわえ、学校では教師に暴力行為をはたらくという事件が広範におこっているのです。
 十四、五歳の少年はすでに、その親や教師と同じくらいか、あるいは、それよりも大きい体格であり、力も、成人なみです。ところが、精神的にはある意味で幼児とあまり変わっていないところに、衝動的に暴力に走ってしまう原因があるのではないかと思われます。
 また、教師の体罰の問題もあります。体罰が十分な正当性をもっておこなわれたときは、それなりの効果を生む場合もまったくないわけではないでしょうが、それであっても暴力をくわえられた人間のなかにかならず深い心の傷を残します。ましてや、教師が安易に体罰主義に依存している場合は、百害あって一利もないでしょう。これが、逆に、生徒の側からの暴力を誘発していることも少なくないようです。
 同様の暴力事件は、アメリカでも頻発していると聞きますし、事実、そうした問題をあつかった小説や映画が少なからずありますが、ドイツでも同じような状況なのでしょうか。
10  デルボラフ 家庭や学校における「暴力」は、先に私が言った秩序と雰囲気が壊れているという確かなしるしです。アメリカではかなり以前からあたりまえになっており、何回も映画の主題となっていますが、暴力が、日本でも大きな問題になりつつあることは残念なことです。その原因を追求することが必要ですが、その点については、別に論じたいと思います。
 ただ、ドイツにも校内暴力がありますが、ひんぱんにおこるのは生徒同士のけんかであり、教師や親に対する暴力行為はほとんど見られず、例外といってよいと思います。むしろ、親による「暴力」、とくに、幼児に対する父親の「暴力」のほうが問題となっています。
 私は、この「暴力の種」が、いつの日か、ドイツの学校でも芽を吹くことにならないかと心配しております。

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