Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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行動の原理――直観と理性  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

前後
18  しかも、個人主義志向は、人間の尊厳という理念と密接に結びついて発展したもので、これを否定するような制度的道徳の復活は、人間の尊厳性そのものを否定することになりかねません。もちろん、人間の尊厳は個人の孤立化によっては成り立ちませんが、自立は不可欠の条件です。したがって、個人主義――いい意味での個人主義をあくまでも根本としながら、他者との正しい共存関係を実現する方向を求めなければなりません。個人の自立性と他者との共存をどう調整するかは、各個人の判断にゆだねるのが根本となるでしょう。
 そのためには、制度的な道徳の復活ではなく、一人ひとりの心の中に、自らの欲望を規制できる力を確立しなければならないということが明らかであり、大乗仏教の行き方は、この要請に最もよく応えるものであると私は信じております。
 現代文明の危機という問題は、単純にこれだけに帰するものではありませんが、まずこの人間自身のあり方、生き方から立て直さないかぎり、他のいかなる努力も、けっして実を結ばないでありましょう。
19  ユイグ しかし、人間はそれを達成できるでしょうか。

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