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日蓮大聖人・池田大作

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調和――心の世界の法則  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

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6  さて、この現代の危機から引き出される結論に戻りましょう。それは、生きている生命と人間存在は有機的な統一体を構成しており、そこでは、すべての部分、この統一体に参画しているすべての機能が、互いに整合しあい、結び合った働きをし、相互に豊かにしあっていかなければならないということです。これを一言でいうと、調和的でなければならないということです。
 人間を図式化し、人間をしだいに一種の高等機械に還元し、ほとんど一つの電子頭脳の模写にしてしまおうとするこの考え方に対しては、断固戦うことが大事です。統一体にとって必要なことは、そのあらゆる部分が自らの正常な発達を確かなものにすることだという点が理解され、そのもっているすべての能力を十分に働かせるようにすべきです。
7  このことは、周知のように、人間がその全体の、平衡のとれた働きを取り戻したときには、その機能を発揮するために行動を起こさねばならない――ということはつまり、時間の中に関わらなければならないであろうということを意味します。その心の仕組みは“生きること”、つまり持続し発展し、自らを変革し、生きているかぎりなにかを実現すべきことを運命づけられています。
 それは“憧憬”という以外にないでしょう。この“憧憬”が正しく知覚され、正しく打ち立てられるなら、それこそ人間の生命がもたらしてくれる究極性にほかならないでしょう。そして、たぶん、この目標は、各人が追求(それは私たちを休みなく引っぱっていくものですので、あえて“追求”というのです)すべきもので、芸術が強調しているのをみてきたとおり、人間の“質”を発展させることなのです。
 たぶん、この目標と、それがひきつける力――それも“最良”のそれ――は、各個人において生きています。それは、各人においては、人類を同じ方向に引っぱっている集団的な大きな動きの反映にほかならず、そして、各人はそのできるかぎりにおいて、そこに貢献しなければなりません。そして、その場合にのみ、私たちの生命は調和をあらわします。たぶん、その褒賞して、ほんとうの深い幸福、つまり生きること自体の満足感が得られるのです。

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