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日蓮大聖人・池田大作

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科学時代  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

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8  なによりも尊いのは生命であり、生命は他のなにものにもかえられない至尊の存在であるとする思想こそ、真実の“良心”の基礎にならなければならないと私は考えます。何百万、何千万の人間の生命を奪うかもしれない巨大な力を扱う科学者は、とくにこの思想を、自己の“良心”の不動の基盤とすべきです。
 それとともに、自らの研究成果が、複雑な政治や社会の機構とその運動原理の中で、どのように使用されることになるかを、科学者自身が見抜いていくことも必要でしょう。といって、政治学や社会科学の専門的知識を科学者も身につけなければならないというのではありません。だが、少なくとも一般的な教養と、現実社会に対する感覚はもっていくべきではないでしょうか。
 そして自分の研究成果が、現実社会のメカニズムの中に取り入れられたとき、明らかに多くの人間生命を危険にさらすとわかった場合は、その研究を中止する勇気を科学者はもつべきではないかと考えます。
9  ユイグ 何人かの非常に偉大な科学者はこのことを痛いほどに感じているにしても、不幸なことに、現代に特有の実利的で実際的な考え方は“客観的探究”の考え方と相まって、たくさんの責任ある人びとに対し、細心さを窒息させる働きをしています。偉大なオッペンハイマー(アメリカの理論物理学者)さえも、人類にとって危険な結果をもたらすと思われた仕事に協力するのを断ったために裁判にかけられたことを、忘れないようにしましょう。

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