Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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内面的混乱  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

前後
16  こうした抽象的概念が、やがて、そのとき、感じとられたものを強化・調整し、あるいはまた、記憶しやすくするものとして、そこに作用するであろうことは当然です。この第二の段階をなおざりにすることは、これもまた重大な誤りでしょう。しかし、この第二の段階は、経験と生きた感情の豊かな基盤にたったときにのみ、到達されます。ですから、職人階級というこの“手による文化”を守る必要があるのです。
 同様に、芸術の感覚を発達させることが大切であり、美術館の役割はその意味で、ますます大きくなります。今日、芸術がかくも盛んであるのは、この心の交流、芸術作品という心の流出の中に、技術の世界がもたらしえないものを汲もうという本能的な欲求を人間が感じているからです。技術は、私たちを世界と共生させるのでなく、世界を支配させようとするのです。
17  西暦二〇〇〇年の人間について推測をして、そのために、現代のわれわれがぶつかっている限界の中に閉じ込めないためには、二〇〇〇年の人間が担うべき仕事への、広い視野をもたせ、人間としての完全な本性を確立し使うよう学ばせることが必要です。ヒューマニズムということばが、今日ではどんなに価値を失っているにしても、私は新しいヒューマニズムが無条件に確立されることを望みます。
 ヒューマニズムなくして人類はありえません。
 西暦二〇〇〇年の人間は、立ち向かうべき問題の困難さに刺激され、そのあふれる意識に高められて、宗教改革やルネサンスの人間たりうるでしょう。さもなければ、その危険な衝撃を受け始めている、偽りの進歩の幻想にまどわされて、まさしく自分の破滅を恐れなければならないでしょう。

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