Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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宗教と社会的価値観
「社会と宗教」ブライアン・ウィルソン(池田大作全集第6巻)
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人々にとっての、たんなる利益といえるものを超越する、種々の価値志向を人々に与えることこそ、宗教が常に携わってきた任務です。利益とは、経済的・物質的福利を最大限に拡大することに関するものであり、唯物的哲学の基本的な関心事です。その主たる例がマルクス主義なのです。
宗教は人生やその目的を再評価させ、ありふれた体験を変質させてくれます。そうした過程において、ある種の超絶的な価値観が、狭義の経済的意味での利益に合致するからではなく、それ自体献身に値するものとしてひろめられていきます。宗教はより高い道を提唱し、それをいかにたどるべきかについて助言してくれます。
宗教は目先の利益のみに関心を払うものではありませんし、たんにそのために役立つ、功利的なものでもありません。もしそうであったなら、それは呪術です。それぞれの高等宗教の倫理は、何らかの超経験的な源泉や体験に起源をもっていると主張しており、ある意味で常に専断的ですが、その倫理体系は、自己放棄や他者への奉仕を強調するなどの点で、大いに共通点をもっているわけです。
こうした高邁な目的も、もちろん頽廃することがあります。宗教が一定の形式の狭い律法主義に堕すこともあります。たとえ高尚な用語が引き続き用いられていても、その象徴的な意味は消散し、インスピレーションが慣習へと堕してしまうこともありうるのです。ある面で、宗教は常に再生を必要としており、衰退しないためには、エネルギーを繰り返し注ぎ直すことが必要です。再生が必要であるのは、宗教の目的が終極のものであるからです。
その目的が達成されることは、最後までありません。宗教の仕事は、人々を目的に到達させることではなく、むしろ彼らに、希望に満ちた旅を続けさせることなのです。体験を変質させるに際して、宗教はそこに意義を与え、感情を規制し、価値観を伝達します。このため、その用語は常に曖昧であり、象徴的でありながらも、同時に精神を喚起させるものであり、評価を与えるものなのです。
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科学が、経験的事実に基づくレベルでより効果的に作動しようとして、情緒的なものや評価的なものを排除するのに対して、宗教は不可避的にすべてのレベルで同時に作用することを約束します。科学者は、経験的事実の立証と、それらが経験的基礎をもつ理論にいかに関連するかの立証を試みることで満足するでしょう。しかし、宗教者は、それに加えて、それらの事実をいかに評価すべきか、またそれらの事実への対応として、自己の情緒の源のうちどれを呼び出すのが適当であるかを、知らなくてはならないのです。
人生は決定すべきことで満ちており、したがって、人間は経験的事実に基づく知識以上のものを必要とします。人間は解釈を要求しますが、解釈には、情緒的な対応と価値観が必然的にともないます。宗教の教えの深さが発見されるのは、まさにこれらのレベルにおいてなのです。そして、宗教が、他の知識体系よりも幅広い範囲の体験に関与するのは、まさにこのためなのです。
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(注1)キルクムケリオ派
原始キリスト教未来派。北アフリカで社会的・宗教的反乱を起こしてローマ当局に鎮圧されたドナトゥス派の一派。
(注2)「黙示録」
ヨハネ黙示録(TheApocalypse)。『新約聖書』の最後の一書。ローマ帝国に迫害されていた小アジア地方のキリスト教徒に慰藉・希望を与えることを目的として書かれ、キリストの再来と新しい神の国の到来、地上の王国の滅亡が近いことが予言されている。
(注3)ゲーテ(ヨハン・ヴォルフガング)(一七四九年―一八三二年)
ドイツの詩人・文学者・科学者・政治家。『ファウスト』『ウィルヘルム・マイステルの修業時代』『(同)遍歴時代』『詩と真実』他。
(注4)ウェルテル
ゲーテ『若きウェルテルの悩み』(DieLeidendesjungenWerthers.1774)の主人公の名前。
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