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日蓮大聖人・池田大作

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現代科学文明と欲望  

「社会と宗教」ブライアン・ウィルソン(池田大作全集第6巻)

前後
10  しかし、そこにもなお、無視できない困難があります。あらゆる先進諸国において、多くの人々が、社会における道徳的コンセンサスという比較的小さな恩恵は当然として、個人の精神的豊かさの達成や、またたぶんいま述べたような精神的努力の極致とかを希求(ききゆう)しているわけですが、そうした人々でさえ、宗教的信仰の基礎をなす根本命題を知的に受け入れることは不可能であると思っていることです。
 また、それとは別に、宗教は長期的視野からみれば価値あるものだと思っていても、その長期的な恩恵のために目先の楽しみを捨てるだけの覚悟がなく、そのため宗教に帰依することができずにいる人々もいます。おそらくは、こうした二つの思惑が、人々の精神的・宗教的欲求を呼び起こそうとする宗教指導者たちの試みへの、主な障害となっているのではないでしょうか。
11  (注1)“宗教的音痴”
 音楽的感性に乏しいことを音痴というのを宗教に当てはめて、宗教的感情や実践に反応を示さない人々に対して付された語。
 (注2)アヴィラの聖テレサ(一五一五年―八二年)
 スペインのカルメル会修道院の修道女。自らの生涯を神秘的・恍惚的に叙述した著書は、キリスト教神秘主義の規範となっている。

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