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日蓮大聖人・池田大作

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二十一世紀には「精神革命」が……  

「人間革命と人間の条件」アンドレ・マルロー(池田大作全集第4巻)

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2  池田 同じようなことが、宇宙を視点にしたものの考えかたにもいえると思います。人類が、はるか宇宙の彼方から地球をみるなどということのなかった時代には、地球は一つ、地球は宇宙に浮かぶ運命を共同にした船、宇宙船地球号であるといっても、ピンとはこなかったでしょう。しかし、いまは実感をもって、そのことが明瞭な時代となっています。
 宇宙開発という人類のかつてなかった行為そのものが、すでにグローバルな視点を提供しているわけで、新しい発想の転換を迫っている。外なる宇宙がわれわれに新たな視点を提供した以上に、われわれ人間の内なる宇宙ともいうべき生命の解明、把握が新たな視点をもたらすでしょう。
 仏法はその人間生命を究極の対象とした哲理であり、私たちの人間革命運動は、内なる宇宙、つまり自身に内在する創造的生命を自身の手によって開拓する、人間自立の変革作業です。人間が新たな生命的思想の高みに立って二十一世紀を展望し、築きあげていこうという運動です。
 マルロー 二十一世紀は、ソビエトの人々が《プサイΨ》と呼ぶものの時代となるであろうと、私はかつていったことがあります。それというのも、ソ連ではいまや想像を絶する変化が起こりつつあるからなのですが。そしてそうした変化の出現そのものが、じつはマルクス主義的ではないということを、彼らは発見するにいたったということです。いまでは、宇宙飛行士のためのテレパシー実験に協力しない科学専門家は相手にされない、といった事態まで生じつつあるありさまです。
 わずか数年まえまでのあの国のありかたを考えれば、このような変化はまったくどぎもを抜かれるほどのものといわざるをえません。もっとも、こうした考えかたが、どれも、いつまでもつづくものかどうかは疑問ですがね……。すべて無意味のものになってしまうのではないか、とさえ思われるほどです。
 それというのも私は、いっさいが激しい勢いでつくりかえられるのをみてきた世代の一人だからで、この点、他のこれまでの世代とは比較のしようがありません。なにしろ、辻馬車から宇宙船まで、たった一世代のうちに変化をとげるのをみてきたわけですから……。
 池田 未来予測というのは、たいへん困難な作業ですね。ある意味では、バラ色の未来論も、終末論的な未来予測も、たいして意味がないといえるかも知れません。私は未来予測という作業は、未来はどうなるかではなく、未来をどうするか──ということに真の意義があると思います。
 一人ひとりの人間の生きることへの意志が人生の全体に反映され、その時代を彩り、やがて歴史へと投影されていく。新しい道はこうして開かれていくと信じています。したがって未来は現在を生きる一人ひとりの胸中にある、さらに日々を生きゆく日常性のなかにあるとみたいのです。

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