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レオナルドの眼と人類の議会――国連の未… ボローニャ大学記念講演

1994.6.1 「平和提言」「記念講演」(池田大作全集第2巻)

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20  「民衆の声を生かす人類の議会」ヘ
 かつて、ルネサンス研究の大家ブルクハルトは「偉人とはその人がいなければこの世界は何かが欠けているように私達に思われる人々のことである」(『世界史的諸考察』藤田健治訳、岩波文庫)と述べておりましたが、レオナルドは、まさにこのような偉人として、イタリア・ルネサンスに不滅の光亡を放っております。
 と同時に、当時は「孤高の人」「独歩の人」であったレオナルド的なるものが、世紀末のカオスの真っただ中にある今日ほど、求められる時期もないと思います。国連を軸にした、新たなグローバルな秩序の形成も、結局のところ、それを担うに足るコスモポリタンを、どれだけ輩出できるかに、かかっているからであります。
21  「われら連合国の人民は」という一節で始まる、あの国連憲章が象徴するように、民衆こそが主体であり、人間こそが根本であります。
 ゆえに、世界市民の更なる力の結集によって、国連を、「民衆の声を生かす人類の議会」へと高めてまいりたいのであります。とともに、生きとし生けるものの証とは一体、何か。人間としての価値は一体、どこにあるのか。国と国、民族と民族の親善友好は、何がポイントか。
 その地下水脈に、文化というものをみなぎらせ、また異文化を認めながら交流を深めていく、新しき人間主義の脈動が、必要となってきております。
 これこそ、まさしく、貴大学の意義深き九百年祭の折、我が創価大学も署名させていただいた、あの「大学憲章」で、高らかに宣言されている理念でありましょう。
 私も仏法の立場から、レオナルドの遺産を継承しつつ、皆さま方とともに、その人類史の新たな夜明けに向けて、走り抜いていく決意であります。
22  終わりに、「学問の偉大なる母」たる貴大学のますますの栄光を祈りつつ、貴大学とゆかりの深い大詩人ダンテの『神曲』の一節を申し上げ、私の講演とさせていただきます。
  「恐れるな」
  「安心するがよい。
  私たちは だいぶ先まできたのだ、ひるまずに、
  あらゆる勇気を ふるい起こすのだ」(野上素一訳、『世界古典文学全集』35所収、筑摩書房)
 ご静聴、ありがとうございました。グラッチェ。
 (平成6年6月1ロ イタリア、ボローニャ大学)

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