Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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21世紀文明と大乗仏教 ハーバード大学記念講演

1993.9.24 「平和提言」「記念講演」(池田大作全集第2巻)

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21  それはまた、ホイットマンの大らかな魂の讃歌の一節を想起させるのであります。
  わたしは ふり向いて
  あなたに呼びかける、
  おお、魂よ、あなたこそ本当の「わたし」、
  するとあなたは、何とまあ、
  いとも優しげに
  一切の天球を配下におさめ、
  あなたは「時間」の伴侶となり、
  「死」に向かっては
  満足の微笑を投げかけ、
  そして「空間」の広大な広がりを
  くまなく満たし、
  たっぶりと膨脹させてみせる(『草の葉』鍋島能弘・酒井雅之訳、岩波文庫)
22  大乗仏教で説くこの「大我」とは、一切衆生の苦を我が苦となしゆく「開かれた人格」の異名であり、常に現実社会の人間群に向かって、抜苦与楽の行動を繰り広げるのであります。
 こうした大いなる人間性の連帯にこそ、いわゆる「近代的自我」の閉塞を突き抜けて、新たな文明が志向すべき地平があるといえないでしょうか。そしてまた、「生も歓喜であり、死も歓喜である」という生死観は、このダイナミックな大我の脈動のなかに、確立されゆくことでありましょう。
 日蓮大聖人の「御義口伝」には、「四相を以て我等が一身の塔を荘厳するなり」とあります。
 二十一世紀の人類が、一人一人の「生命の宝塔」を輝かせゆくことを、私は心から祈りたい。
 そして、「開かれた対話」の壮大な交響に、この青き地球を包みながら、「第三の千年」へ、新生の一歩を踏み出しゆくことを、私は願うものであります。その光彩陸離たる「人間と平和の世紀」の夜明けを見つめながら、私のスピーチとさせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。
 (平成5年9月24日 アメリカ、ハーバード大学)

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