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日蓮大聖人・池田大作

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第17回「SGIの日」記念提言 希望と共生のルネサンスを

1992.1.26 「平和提言」「記念講演」(池田大作全集第2巻)

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45  更にカンボジア情勢にも触れておきたい。私は四年前の「SGIの日」記念提言の中で、人道的見地からカンボジアの情勢に言及し、長期化しているカンポジア内戦の一日も早い解決を要望いたしました。幸いなことに昨年、十三年に及ぶ内戦に終止符が打たれ、平和の足音が聞こえ始めたことは喜ばしいかぎりであります。紛争当事者四派間の相互不信はなお完全に消えておらず、政治的安定と経済再建の道は困難が予想されますが、ともあれ国民的和解へ向けて前進しはじめたことを歓迎したい。
 このたび、国連カンポジア暫定行政機構(UNTAC)の国連事務総長特別代表に就任し、カンポジア再建の最高責任者となった明石康氏はかねてからの知己であり、同じ日本人の一人として、またアジアの平和を念願する仏法者として、国連史上でも前例のないといわれる難事の成功を心から祈るものであります。
 UNTACはカンボジアの明年の新政権誕生まですべての統治業務を請け負うそうです。国連がこれだけ本格的に一国の再建に携わった例はないといわれるなか、貴重な平和維持活動の体験であり、それだけ国連の役割が高く評価され、国連自体への信頼が増していることの証左といえましょう。
 また、カンボジアの国民的和解のシンボルと見なされている最高国民評議会(SNC)議長のシアメーク殿下には、一九七五年四月に北京で個人的にお会いした思い出があり、私自身、カンボジア情勢に一方ならぬ関心を抱いております。
 何よりも最優先されるべきは、カンボジア国民の幸せであります。国連が全面的に支援する形で、また日本をはじめ各国ができるかぎり協力し、新生カンポジアの再建の道がスムーズに進むことを期待したい。
46  地球の共生のシステム創造
 このところ日本の国際貢献策はどうあるべきかをめぐって、様々な論議が続いております。要は国連のPKO(平和維持活動)への参加という狭い範囲に限定するのではなく、地球全体の総合的な平和秩序の構築に、日本がいかにして貢献していくかを考え抜くことであります。
 核戦争の脅威が遠のいた今、環境危機が人類の脅威として大きくのしかかっております。途上国の「開発の権利」を尊重しつつ、先進国の経済発展も併せて保証しうる新しいグローバルな共生システムを生み出すために貢献することこそ、日本のあるべき国際貢献策といえましょう。
 そこで当面の目標として、今急速な経済発展とともに世界最大の環境汚染地域となりつつあるアジアの環境保全のために、日本の最新技術と関連資金の提供を考えるべきではないでしょうか。日本の環境保全技術は世界の最高水準にあって省エネ技術も進んでおり、各国からの期待も大きい。
 こうしたイニシアチブを日本がとるには、まず日本が率先して防衛費を削減し、軍縮の姿勢を打ち出し、アジア諸国の日本に対する根強い警戒心を解くことが必要となりましょう。「アジアと共に繁栄する日本」のビジョンを、今こそ明確にすべきであります。
47  現代は二十世紀を総括し、新しい世紀へ足を踏み入れようとする大いなる過渡期であります。一時的な逆流はあったとしても、世界が国家の枠を超えて地球的規模の課題に力を合わせて解決していく共生の時代に移っていることは間違いありません。かねてから私が主張している″不戦共同体制″へ向けて、時代は確かな歩みを開始しております。
 私自身、この一年も平和・文化・教育のレベルから、できるかぎり世界に足を延ばし″不戦の時代″構築のために貢献しゆく所存であります。
 (平成4年1月26日「聖教新聞」掲載)

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