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日蓮大聖人・池田大作

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軍縮及び核兵器廃絶への提言 第2回国連軍縮特別総会ヘ

1982.6.5 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

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18  私は、第一回の軍縮特別総会への提言の中で、核開発をはじめとする軍備増強のための膨大な軍事費を人類の英知と繁栄のために振り向けていくための方策に言及しました。国連内に仮称「軍縮のための経済転換計画委員会」を組織化し、そこで軍縮にともなう新たな国際的経済秩序を形成する構想を検討してほしいと提言いたしました。
 私は、一九八〇年代の世界経済を展望した場合、世界的軍縮による資源の平和的利用への道を開くことが、いよいよ緊急事となっている気がしてなりません。もし、八〇年代に経済的、軍事的危機の打開のための政策転換を目指した全地球的な軍縮計画が進展するならば、南北間の所得格差が縮小するばかりか、経済力からみた各国の国力は充実し、全人類的福祉の向上と平和維持が期待できるものと確信しております。今回の第二回軍縮特別総会が、その輝ける人類社会の未来に向かって、全地球的な軍縮への第一歩を踏み出す契機となることを願ってやみません。
19  「ヒロシマ・ナガサキ展」開催を
 次に、核兵器の破壊力、核兵器配備の実態を広く世界の民衆に啓発し、核廃絶への国際世論を高めるための運動を進めることを提言したい。言うまでもなく、非核地帯の構築のためには、反核の民衆の意識の定着、深化が不可欠であり、この運動の進展が、世界の非核地帯化のカギを握っているといえましょう。
 この点に関しては、私は、第一回総会への提言の中で、幾つか具体案を示しました。それらを踏まえて、私は、まず第一に各国NGOの総力を結集し「ヒロシマ・ナガサキ展」の世界各地での開催を進めてほしい。この提案は、日本で創価学会青年平和会議が中心となり、各地で「反戦・反核展」を開催し、多くの人々に反核意識を植え付け、深化させることができた成果を踏まえての提言であります。
 更に、ヒロシマ、ナガサキの被爆の映画の各国語版のリプリントを進め、世界各地での上映運動を展開することも有効でありましょう。テレビ等のマスメディアを通じての啓蒙も、当然必要であります。
 そこで、私は、各国において核廃絶の意識を高め、国内の展示、情報提供のセンターとして機能する常設の「反核平和館」を開設してはどうかと考えます。日本では、既に私どもの試みとして、反戦、平和を訴える「戸田平和記念館」を常設し、その機能を発揮しております。
 前回の総会に際し、私は、戦争の悲惨、残酷さ、核兵器の破壊力、ヒロシマ、ナガサキの被爆の実態、現在の核兵器の状況などを示す文書、写真、映画、ビデオ、絵画、その他の資料を収集、展覧し、国連を訪れる人々に公開する、そしてそれらの資料が世界各地で活用されるよう推進するセンターとして「平和のための資料館」を国連に開設せよ、と提言しました。この仮称「国連平和館」をセンターにして、各国の「反核平和館」が機能していくならば、反戦、反核意識は大きく高揚していくと思うのです。
 以上の私の提案が、今回の軍縮特別総会を成功に導くための、ささやかな手助け、何らかの参考になれば、望外の喜びであります。第二回国連軍縮特別総会の実りある成果を、一民間人として心より期待するものであります。
 (昭和57年6月5日 「聖教新聞」掲載)

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