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日蓮大聖人・池田大作

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核軍縮及び核廃絶への提唱 国連軍縮総会に対する提言

1978.7.0 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

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40  ともあれ現状は、世界の科学者の二五%、すべての研究開発費の四〇%が軍事目的であるという恐るべき状態であります。国連の賢明な指導下に一刻も早く軍縮への道が切り開かれ、軍事目的のための研究が無意味となるような世界を現出しなければなりません。そして、今まで軍備拡大のために投資されてきた巨額の費用を、今度は平和維持のための経済構造の創出に振り向けるよう努力していきたいものであります。更には、その費用によって、世界の科学者達が英知を結集し、人類の生存のためのプログラムを作成できるよう、切に望む次第であります。
41  無視することのできない課題
 以上は、すべて軍縮問題への国連のイニシアチブの強化への期待であります。そのためには、無視することのできない課題が二つ考えられると思います。
 第一に、国連そのものの経済的基盤の強化ということであります。これは、国連の長年の課題でありますが、私は素朴な発想として申し上げるのですが、軍事費に要するあの膨大な資金の一部でも、国連に向けることができないものかということであります。報道によると、フランスからは既に一定限度を超えた過剰軍備に対する課税というアイデアが出されているとのことであります。その金を、軍縮管理の運営費や開発途上国援助に回そうというもので、これなど、十分検討に値するものではないでしょうか。もちろん、その課税金が、軍備増強への免罪符となってはならず、そこには何らかのチェックが必要とされましょう。
 私が訴えたいのは、国のために金を使うのは当然としても、より以上に、人類の平和のために醵金きょきんするという、発想の転換であります。時代は既に、その時期にきているということであります。その英断がなければ、我が国の諺でいう″角を矯めて牛を殺す″結果をもたらすに違いありません。
42  第二に、国連の機能の強化にともない、必然的に要請されるのは、政治的不偏性であります。国連は、大国の主導権争いや裏取引の場であってはならず、また、醵出金の多寡によって、その国の比重が測られるようなことがあってもならないと思います。
 安保理の構成の問題など、複雑な要因が絡んでおりますが、私は、まずそのための第一歩として、事務総長及び国連首脳部の方々の″完全なる政治的非同盟宣言″なども、一考に値するのではないかと思うのであります。それにともない、事務局のメンバー構成などにも十分留意し、公平なイニシアチブを、今後とももってくださるようお願いいたします。
 以上、私のささやかなる提案が、今回の軍縮特別総会を契機に、何らかの参考にしていただければ、望外の喜びであります。また、一民間人が、この総会での討議に期待を寄せている微志を汲み取っていただければ、誠に幸いであります。

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