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日蓮大聖人・池田大作

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第26巻 「厚田」 厚田

小説「新・人間革命」

前後
60  厚田(60)
 北海道幹部会で山本伸一は、皆の健康と長寿、一家の繁栄を願って、ともに勤行した。
 この席上、伸一は、北海道の研鑽御書を「御義口伝」と定め、皆で学んでいってはどうかと提案。賛同の大拍手が会場を包んだ。
 さらに彼は、大ブロック組織の重要性などについて語っていった。
 「大ブロックこそ、創価学会の縮図であり、大ブロック幹部は、地域広布の要です。
 学会活動のさまざまな事柄が、大ブロックに集約される。弘教や機関紙誌の購読推進、座談会の結集等々、日々、あれもこれも、たくさんのことが滝壺に降り注ぐように集まってくる。それを受けて立ってくださっているのが皆さんであることを、私は、よく知っております。しかも、生活のうえでも、さまざまな悩みをかかえておられるでしょう。
 ともすれば、疲れて、歓喜も失せてしまい、ただ言われたことをこなしているという感覚に、陥ってしまうこともあるかもしれない。しかし、受け身になってしまえば、力は出ないし、喜びもありません。
 そんな自分を、どう鼓舞していくか――実は、そこからが本当の信心の戦いなんです。
 受け身の生命を打ち破るために、私たちの活動は、すべて広宣流布の聖業であり、仏に代わって、仏の使いとしての誉れの行であること、また、最高の社会建設の実践であることを思い起こしていただきたい。
 そして、わずかな時間を見つけては、真剣に唱題していくことです。さらに、一行でも、二行でも御書を拝し、学会の指導を学び、なんのための信心であり、仏道修行であるかを、確認していくことです。
 また、信心の触発を与えてくれる先輩など、同志の存在が大事です。人間は孤立し、一人になると、どうしても弱くなってしまいがちです。そうならないために、互いに励まし合っていける善友が必要なんです」
 ゆえに大聖人も、法華経を引かれて、「悪知識を捨てて善友に親近せよ」と叫ばれているのである。
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 参加者たちは、山本伸一が、自分たちの置かれた状況を、あまりにも的確に語っていることに感嘆しながら、話に耳を澄ました。
 「大聖人は、『一生成仏抄』のなかで、『仏の名を唱え、経巻を読み、華を供え、香をたくことまでも、すべて自分自身の一念に功徳・善根として納まっていくのだと、信心を起こしていきなさい』(御書383㌻、通解)と仰せになっています。
 つまり、勤行をはじめ、広宣流布のための私どもの活動の一つ一つが、自身の、また一家の、功徳、福運となり、幸せを築く大切な根っこになっていることを、強く確信していただきたいのであります。
 そして、活動に際しては、常に積極的であることです。さらに、組織としての目標だけでなく、自分個人の目標を明確にし、その成就と、自身のさまざまな苦悩の転換をかけて、祈り抜いて戦っていくんです。『広布の勝利』は『生活の勝利』になります。『活動の歓喜』は『人生の歓喜』になります。
 『学会活動が大好きだ!』『折伏が大好きだ!』という人の境涯は、仏なんです」
 喜びの大拍手が響いた。
 「皆さんのなかには、自分たちの上には総ブロック幹部や本部幹部もいるので、役職的には低いように感じている方もいるかもしれない。しかし、それは組織上の役割の問題であって、信心の厚薄や境涯の高低ではありません。私どもの信心は御本尊直結です。
 むしろ、広宣流布を決する最も重要なポジションであり、信心を深める理想的な立場が、大ブロック幹部ではないかと、私は思っています。もし、可能ならば、私も大ブロック長として戦いたいんです。苦労も多い分だけ、最も喜びがあるではありませんか!」
 伸一が指導を終え、退場したのは、午後一時四十分であった。その五分後、彼は厚田の戸田講堂を出発し、東京へ向かったのだ。
 ″世界広布誓願の師弟の天地・北海道に勝利あれ! 栄光あれ!″と祈りながら――。

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