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日蓮大聖人・池田大作

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第24巻 「人間教育」 人間教育

小説「新・人間革命」

前後
53  人間教育(53)
 山本伸一は、創価学会が永遠に発展し続けていくためには、″仏法の根本は何か″を見失うことなく、大聖人の御精神という原点に回帰し、″人類のために″″民衆のなかへ″と、弛まざる流れを開いていくことが、必要不可欠であると訴えた。
 そして、創価学会は、本源からの宗教改革、人間革命の運動を展開しており、一人ひとりが、その運動の主役として、社会に大きく貢献していってほしいと呼びかけた。
 最後に彼は、こう語って話を結んだ。
 「先師・牧口初代会長、恩師・戸田前会長をはじめ、学会の草創期を築き上げた先輩の多くは、教育者でありました。
 したがって、第二章の広宣流布、すなわち、世界の平和と文化の本格的な興隆の時代にあっても、教育部は、その先駆者であっていただきたい。その誇りを胸に、一騎当千の光り輝く主柱へと成長しゆくことを、心から祈っております」
 賛同と決意の大拍手が轟いた。
 文豪トルストイは、「宗教は教育の基礎である」と記している。それは、教育の場に宗教を持ち込むことではない。
 教育には、確たる人間観と幸福確立のための哲学が必要である。それを説いているのが仏法である。また、子どもの可能性を信じ、その幸せのために、どこまでも献身し、奉仕しゆく強靱な意志と情熱が必要である。この強き一念の源泉は、断じて子どもたちの幸せを築こうとする宗教的使命感である。
 ゆえに、伸一は、教育部員が強盛なる信仰の人となるよう、自身の生命を削る思いで、激励したのである。
 山本伸一は、三月三十日、静岡県の牧口園で行われた、第三東京本部(大田・品川区)婦人・女子部の、教育部研修会に出席した。
 ″未来のために、今、なすべきことは、すべてなすのだ。時は待ってはくれない。全力を振り絞らずしては、終生、禍根を残す!″ 伸一は、必死で戦い抜いていたのだ。
54  人間教育(54)
 第三東京本部の婦人・女子部の代表が集った教育部研修会で、山本伸一は、人間教育実践の場について語った。
 「御書には、『法妙なるが故に人貴し・人貴きが故に所尊し』とあります。持つ法が最高に優れていれば、それを持つ人も貴い。持つ人が貴ければ、その人のいる場所も尊いとの意味です。
 大聖人の仏法は、生命尊厳の法理であり、最高の人間革命の教え、すなわち、人間教育の大法であります。その法を実践する皆さんは、最高の人間教育の教師であります。そして、皆さんのいるその場所は、学校であれ、家庭であれ、地域であれ、すべて最高の人間教育の現場となるのであります」
 教育部員に限らず、自分に連なる一切の人に、生命の触発を、希望を、勇気を与え、一人ひとりの秘めたる力を引き出し、幸福の道へと共に歩むことが、学会員の尊き使命であると、伸一は考えていた。
 つまり、わが同志のいるところは、ことごとく人間教育の教室とならねばならない。そして、その先駆者こそが、教育部員であることを、伸一は訴えたかったのである。
 研修会の最後に、彼は呼びかけた。
 「皆さんが出した本のタイトル『体あたり先生奮戦記』のように、何事も″体当たり″で進まなければ、事態は開けません。″体当たり″とは勇気の行動です。必死であり、真剣勝負ということです。その時に、自分の殻を打ち破り、人生のドラマが生まれる。やりましょう! 人間革命の大ドラマを、共々につくろうではありませんか!」
 伸一の励ましによって、教育部は、新時代の大空に、雄々しく飛翔していった。全国津々浦々に、「平和の世紀」「生命の世紀」を開く人間教育の潮流が広がっていったのだ。
 自らが教職を終えたあとも、地域の信頼の柱となって貢献する教育部の友も多い。
 人類の闇を破り、未来を照らし出すことができる光は、「教育」という太陽である。

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