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日蓮大聖人・池田大作

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生と死 生きるって素晴らしい! この「今」を一分も無駄に使うな

「青春対話」(池田大作全集第64巻)

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28  自殺は絶対にいけない!
 ―― 今の社会、自殺も多いんですが……。
 池田 世界的に多い。本当に、かわいそうだ。痛々しい。自殺する人は、追いつめられている。戦うことができない。逃げ場がない。しかし、死に逃避したとしても、生命の苦悩は消えないのです。いな、生命という「宝」を自分で壊すことによって、さらに罪を重ねてしまう。
 自殺する人は、追いつめられて生命力がなくなっている。それは根本的には、生命の根本法則である「妙法」に逆らっているからです。
 全宇宙が「生」と「死」のリズムを奏でている。大きな星にも生があり、死がある。小さな虫にも生があり、死がある。森羅万象が、生死、生死のリズムで動いている。その生死の根本を南無妙法蓮華経という。
 だから妙法に逆らえば、生命力はしぼまり、妙法を行じれば、生命力は強くなる。ともあれ、何があろうとも、絶対に自殺はいけない。
 ―― 「子どもが死んで、生きるかいもなくなった」と沈んでいる人もいました。
 でも学会の同志に励まされて、今、元気に新しいスタートをされています。
 池田 私たちは妙法家族です。生も死も超えて、妙法という″生命の無線″で結ばれている。唱えた題目は必ず相手に通じるし、自分が願えば、再び家族になったり、友人になったりして、身近なところに生まれてくる。それを確信して、遺族が堂々と幸福になり切っていくことです。その幸せの実証こそが、亡くなった人の成仏を雄弁に物語っているのです。
 ―― 遺された人が、どう生きるかが大事なんですね。
 池田 そうです。「生死不二」「父子一体」なのだから、家族の「生」の側が幸せになれば、「死」の生命も幸せになっていく。また「死」の状態の生命が成仏していけば、「生」の私たちを守ってくれる。
 ―― 「死後」の姿はわからなくても、「生」の姿を見れば、ある程度、わかるということですね。
 池田 そう考えられる。じつは、「死後」と言っても「科学的に証明」はできない。
 しかし、われわれが仏法を実践して、この一生で確かなる「実証」が出たならば、仏法の説いていることは正しいと言えるでしょう。
 ―― 正しくなければ、皆に「実証」が出るなんてことはありません。
 池田 皆が実験して、皆が同じように、何らかの「現実の証拠」をつかむことができた。そうすると、そこには一定の法則があると考えられる。
 仏法の教えの土台は「永遠の生命観」です。この土台が、もしか間違っていたならば、この「生」において、実証など出るわけがないのです。
29  「死んでみないとわからない」?
 ―― たしかに、よく「死後の生命と言っても、証明できないし、死んでみないとわからないじゃないか」と言う人がいます。
 池田 死んでみないとわからない――その通りだ。しかし、死んでみて「あ、やっぱり仏法は正しかった」とわかったら、どうするか。それから頑張ろうと思っても、もう遅い。
 ―― 手遅れです。
 一方、万々が一、「死後は無」だったとしても、仏道修行で自分を磨き、人生を充実させたことは、無駄にはなりませんね。どっちにころんでも、損はない。「賭け」に譬えれば、こんな有利な賭けはありません。
 池田 仏法は絶対に間違いないのです。「科学的に証明できない」と言っても、科学は万能ではない。とくに、近代の自然科学は、五感の働きを拡大して探究できる分野は得意だが、そうでない分野は探究する術をもっていない。
 ―― 「死後」については、探究する方法をもっていないんですね。
 池田 だから、いちばん正しい科学的態度は、「わからないことについては断定しない」ということではないだろうか。
 ゲーテや、トルストイも、そう言っている。ガンジーも、そう言っている。
 科学には、死後について、ないとか、あるとか発言する資格がないのです。
 ―― 資格がないのに「死後は無い」と主張するところに、傲慢があるし、誤りがあるわけですね。
30  大量死メガ・デスの20世紀から生命尊厳の21世へ!
 池田 非常に大きな過ちが、そこにある。「科学の世紀」である二十世紀ほど、人々が「死」を見つめることを避けて、「生」の欲望に走った時代もない。
 「死を忘れた世紀」が、その結果、二回の世界大戦や核兵器など「メガ・デス(大量死)の世紀」になったことは偶然ではないと私は思う。
 ″死後は無であり、人間は物質の固まりにすぎない″という生死観からは、「生命の尊厳」の根拠は生まれてこないからです。
 だからこそ、諸君は二十一世紀を、断じて「平和の世紀」とするために、「生命の尊厳」の哲学を学び、広げていってほしいのです。正しき生死観を学び、実践し、一日一日を「かけがえのない宝」として大切にして生きてほしい。
 そして、この一生で、何百年分もの価値を創り、永遠に輝きわたるような「不滅の人生」を築き上げてほしいのです。

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