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日蓮大聖人・池田大作

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勇気を出したい 正義を貫け! それが勇気

「青春対話」(池田大作全集第64巻)

前後
11  「人を信じられたらどんなに楽か」
 ―― 女子高等部員の体験なんですが、静岡の人です。彼女を含めて七人の仲良しグループができていました。行動をともにするうちに、長所も短所も見えてきます。やがて、その場にいない人の悪口を、彼女以外の人たちが言うようになったのです。
 彼女は、そんな状況を変えようと努力しました。すると、それをきっかけに、他の六人からの「いじめ」が始まってしまったのです。
 その後は、教室での冷たい視線。悪口だらけの手紙が回ってくる。体がぶつかると、「キャー」と叫び、逃げる。「心臓をえぐられるような」日々が続きました。休み時間になると、そんな状況を避けるため、トイレで時間を、つぶしたそうです。
 「人を信じることができたら、どんなに楽だろう」と悩んだ末、ある日、思いきって母親に打ち明けました。すべてを知った、お母さんは「青春対話」を持ってきました。彼女は一生懸命、読みました。勇気がわいてきました。「題目をあげれば、悩みが全部、幸福へのエネルギーに変わる」と知って、挑戦を始めました。
 ただ「負けたくない、強くなりたい」と祈り続けたそうです。だんだん、勇気がわいてきました。学校に行くのも、苦しくなくなってきました。それまでは、親の送り迎えで、しかたなく行っていたのです。やがて新しい友達もでき、結局、その六人とも再び仲良くなったそうです。
 彼女は言っています。
 「強くなれるきっかけをつくってくれた六人に、今では感謝しています」「相手を変えるには、自分が強くなることです」「悩みがある人は題目を、悩みがない人も自分を磨いていくために題目をあげることを絶対に私は勧めます」と。
12  「どうすれば皆が幸せになれるか」
 池田 題目は「勇気」の原動力です。勇気のエンジンに「火」をつけるのが題目です。その題目をあげるのも、また勇気なのです。
 ともあれ、勇気は、人間が正しく生き抜き、正道を歩む「力」です。
 たとえば、人類・国家のために、「どうすればいちばん平和になるか」を考え、行動する。そういう信念の勇気もある。
 社会のため、多くの人の人生のために、「どうすれば皆が幸せになれるか」を考え、行動する。そういう人間愛の勇気もある。
 また、いちばん身近な生活のなかで、「子どもたちのために」という母親とか学校の先生の思い。「友人のために」という友情。そういう地道な日常での勇気もある。
 ―― 段階がある、ということでしょうか。
 池田 段階があるように見えるが、「勇気」という一点には違いがない。
 「大きな勇気」も、「小さな勇気」も、勇気には変わりがない。「人のため」という崇高な心に変わりはない。「自分のため」だけでは卑しい。ずるいし、臆病です。
13  まず「一歩前へ!」――行動すれば必ず開ける
 ―― 思うのですが、信仰とは最大の勇気ということではないでしょうか。
 池田 その通りです。さまざまな分野の勇者がいるが、いちばん多かったのは宗教の世界でしょう。とくにキリスト教の宣教師は、どんなに迫害されようが布教を続けた。教義は別にして、この生き方は、行動は、「勇者」と言えるでしょう。
 仏法も勇気です。日蓮大聖人は、「日蓮が弟子等は臆病にては叶うべからず」――日蓮の弟子らは臆病であってはならない――と繰り返し、教えておられる。
 信念のためには、いかなる迫害にも屈しない。それを「勇気」という。それが、人間としていちばん尊い生き方です。
 その人は「勇者」という栄光の刻印を天から与えられるに違いない。永遠に「勇者」として、その名が刻まれていく。また自分自身が、歴史に、そう刻印をしていく。そして、人をも奮い立たせて「勇者」にしていく。その人がいちばん、偉い。その人は菩薩であり、仏です。
 正しい信仰をもち、その信念のために行動する人が勇者なのです。自身の胸中に、大宇宙の根本のリズムを保っている「勇者の中の勇者」です。
 その「一人」がいれば、「太陽」が昇るのです。自分の生活に。自分の家庭に。自分のクラスに。自分の社会に、国に、世界に。
 だから諸君は、自分のなすべき課題に向かって、「まず一歩を踏み出せ!」と私は言いたいのです。

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