Nichiren・Ikeda
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創価大39回・創価女短大25回入学式
2009.4.3 スピーチ(聖教新聞2009年下)
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「目は心の旗」
それは、今から約400年前──。
韓国の正義の哲人指導者・
李ス光
イ・スガン
先生は叫ばれました。
「目は心の旗である。高いものを見れば、心も高くなる。低いものを見れば、心も低くなる。見るものが正しければ、心も正しくなる」
私の恩師・戸田先生も、青年が低次元の雑誌などを読んでいたら、烈火のごとく叱り飛ばされました。
勉強しなさい! いい本を読みなさい! 悪書を読むと心が腐って、堕落してしまうぞ──そう訴えておられた。
そして、“青年ならば最高峰を仰げ! 一流から学べ! そして自身も一流になれ! これが、常に正義を見つめて、誇り高く学ぶ本当の青春だ”と指導されました。
こうした精神を教えてこそ真の大学です。真の勉強です。読書です。
思えば、私の青春時代は戦争でした。4人の兄が兵隊にとられ、私は17歳で終戦を迎えた。
父は病気。私も肺病でした。満足に治療もできませんでした。
立派だった自宅は、強制疎開によって壊されました。
別の場所に新たに家を建てましたが、いよいよ明日からは皆で暮らせるという日の夜に、焼夷弾が直撃して燃えてしまった。
本当に多くの人が、戦争の犠牲になりました。
だから私は、戦争には絶対反対です。
戦争がどれほど悪いか。国家の権力が、どれほど悪かったか。私は知っています。
本当の勝利の人生を生きるためには、偉大な思想が必要です。学問が大切です。
戸田先生は命を賭して軍国主義に反対し、牢獄に入りました。牧口先生は獄死です。
だから私は、19歳で戸田先生とお会いした時に、戸田先生のもとで「本物の弟子」になろうと決意しました。これは私の青春時代の大きな歴史です。
ともあれ、「人間勝利の旗」を晴れ晴れと掲げながら、世界の「海洋新時代」をリードしてこられた信念のキャプテン(船長)こそ、ここにお迎え申し上げた
呉巨敦
オ・コドン
総長なのであります。
6
日本はかつて非道にも貴国を植民地にし、苦しめました。あまりにも増上慢であった。
しかし、わが師匠・戸田先生は、常に貴国の計り知れない文化の大恩を語っておりました。
日本は多くのことを韓国から教わってきた。韓国は大恩人の国である。大切にしなければいけない。絶対に尊敬していかねばならない──こう述べていました。
あの時代状況の中で、本当に卓越した、深い考えを持った指導者でした。
その恩師の命日であるきょう、何よりも深き意義が光る、貴・韓国海洋大学の栄誉を拝受させていただき、これほどの感無量の劇はございません。誠に誠に、ありがとうございました。
7
海は世界への道
戸田先生と二人して、大海原を見つめながら、心広々と語り合ったことがあります。
それは──
「海は、臆病な人間には、前進を阻む壁となる。しかし、勇敢に挑み続ける青年には、必ず、世界への道を開いてくれる。それが海だ」ということでありました。
象徴として、戸田先生があげておられた人物が、9世紀の“海上王”
張保皐
チャン・ボゴ
(=張宝高、弓福とも)でありました。
まさしく、貴大学の校歌にも歌われている大いなる偉人です。
貴国の勇者・張保皐は、敢然と海に乗り出し、民衆を苦しめていた海賊を退治しました。そして貴国と中国、さらに日本を結ぶ、平和と繁栄の大交易のネットワークを築き上げた。
彼ら“海の英雄たち”が、大陸へ渡る日本人たちを守ってくれた恩義も、日本は決して忘れてはならない。浅い心、小さい心ではいけない。
ロマンの人生を貫いた“海上王”の信念は、何であったか。
それは、“正義を見て実行しないのは、勇気がないのである”(「義を見て為ざるは、勇なきなり」)という、有名な『論語』の一節でありました。
“だれかがやるだろう”というのは無責任である。
人がどうあれ、正義のためには勇気をもって、勇敢に行動する。これこそ人格の真髄であり、人道の不変の方程式であります。
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素晴らしき“人材の港”
総長は、こうした海洋の英雄たちの、不屈の挑戦精神を現代に受け継ぐ指導者を、たくさん育成しておられる。
「一方の扉が閉まると、もう一方の扉が開かれる」──これが、幾多の苦難を勝ち越えてこられた、総長の「負けじ魂」であったと、私たちは思うのであります。
貴国は東西冷戦の時代に、陸路の交流が閉ざされる危機のなか、勇壮に海へと活路を見出していかれました。
今や貴国は世界一の「造船」、さらに世界トップレベルの「海運」を誇る海洋大国として、見事に、世界に燦たる勝利を収められた。
そして、その偉大な原動力となった、素晴らしき“人材の港”こそ、貴大学なのであります。
わが新人生の皆さんも、きょうから希望に燃えて、眼前に広がる「学問の大海原」に船出していっていただきたい。
勉強することだ。教員は、学ぶ意欲をわき立たせる知恵を発揮することです。
新入生の皆さん!〈「ハイ!」と元気な返事が〉
ご両親に対しても、それくらい元気な返事をしてほしい。お父さん、お母さんを安心させ、喜ばせてあげるのです。約束だよ!
9
今、創大も短大も、世界に開かれてきました。さらに語学力を磨き始めました。
語学力が勝負です。
かつて私は、イギリスの大歴史学者であるトインビー博士と対談しました。
“あなたと仏法を語りたい”──こういう思いのこもった手紙を博士からいただき、始まった対談でした。
日本の古典である『竹取物語』や『源氏物語』などをめぐっても、語り合いました。
私は“敵国の言葉である英語を学ぶな”と教えられて育った世代です。博士との対談の際は、通訳がうまくいかず、苦労しました。語学力のある人を育てなければならないと、痛切に感じました。
皆さんは、どうか語学を磨いていただきたい。磨いた人が勝ちます。
語学を教える先生方はおられますか?〈ここで、語学の授業を担当する教員が紹介された〉
皆で拍手を送ろう!
サンキュー! ダンケ(ドイツ語で「ありがとう」)! メルシー(フランス語で「ありがとう」)! ありがとう!
将来、ご両親を海外旅行に連れて行き、通訳をしてあげるつもりで学ぶのです。
ともあれ、「ああ、創価大学に行かせてよかった」と言われなければ、私は、皆さんのご両親に嘘をついたことになる。本当の親孝行を尽くしてあげてください。〈「ハイ!」と力強い返事が〉
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「学ぶとは逆流に進むようなもの」
きょうは、21世紀の大中国を担い立つ全青連(中華全国青年連合会)の方々も出席してくださいました。ありがとうございました。
太陽のごとく光り輝く、3億7,000万人の青年の、誉れ高き代表であられます。
全青連ご出身であられる胡錦濤国家主席と、私は、これまで3度お会いしました。〈1985年、98年、23008年に会見〉
会見(98年)の席上、胡主席は微笑まれながら、日本に派遣され、創価大学に学んだ若き英才のリーダーを、皆に紹介されました。その方こそ、信念の平和外交に尽力する
倪健
げい・けん
団長なのであります。
こうした友好の一つ一つの場面を、私は忘れません。また、歴史として残してまいりました。
中国人民の母・鄧穎超先生とも、何度も出会いを結びました。周恩来総理の夫人です。本当に良き「人民のお母さん」であられた。
鄧先生は、愛する青年たちに、古の格言を贈られました。
それは──
「学ぶとは、逆流に向かって船を進めるようなものだ。進まざるは後退である」という言葉であります。
人間も社会も、傲慢になり、学ぶ心を失ってしまえば、時代の激流に押し流されて衰退するしかない。
だからこそ、青年は、立ち止まってはならない。学んで学んで、学び抜くことです。
私は、それを実践してきました。
若き日に戸田先生と会い、「一生、この人についていこう」と決めた。
荒波にも負けず、民衆の船を、希望へ、勝利へ、平和へ、前進させゆくエンジンになろう!──こう19歳で決意したのです。
私は、戸田先生との誓いのままに、人生を進んできました。
そして、周恩来総理との誓いのままに、友好の道を開いてまいりました。
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切磋琢磨を!
はるか千年の昔、韓国の大文人・
崔致遠
チェ・チウォン
先生は、中国に留学した折、生涯の友情を結んだ学友の
顧雲
こ・うん
先生と、互いの努力と研鑚を讃え合いました。
“わが友よ!君の学識は、大海の鯨が潮を吹くように溢れている。そして、君の言論の剣は、銀河が天を貫くように鋭く輝きわたる”と。
君たちも、良き友と励まし合い、切磋琢磨することです。悪い友人を持ったら損です。良き友こそ宝です。
そして、健康で、朗らかに、充実と向上の青春を、気宇壮大に飾りゆかれんことを、期待します。
そこにこそ、人生の勝利者になりゆく道があります。正しい青年の道があるからです。
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貴大学を擁する釜山をはじめ大韓民国、さらに、大中国の無窮のご繁栄を、私たちは心からお祈り申し上げます。
そして貴大学の校歌の一節「太平洋の青き波を胸に抱き 力強く育ちゆけ」を心に響かせながら、平和と文化と教育の大航海へ、共々に新しく出発しゆくことを決意して、先生方に対する御礼のスピーチとさせていただきます。
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冬は去り、春は巡り来た。
春です。
太陽は輝いている。
まさに、“The sunshines brightly!”です。
新入人生、頑張れ!
どんなに苦しいこと、いやなことがあっても、今は経済的に苦しくても、くじけてはならない。卑屈になってはならない。
苦難など笑い飛ばして、楽観主義で進むのだ。
ともあれ、きょうは、入学おめでとう!
幸福になってください。勝利者になってください。英知に輝く人生を勝ち抜いてください。──こう申し上げ、私の話を終わります。
ありがとう! カムサ・ハムニダ!(韓国語で「ありがとうございました」)
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