Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

歓びの福井の春 我らの郷土に昇れ 創価の太陽

2000.2.25 随筆 新・人間革命2 (池田大作全集第130巻)

前後
5  私は、福井の友がかわいそうでならなかった。その苦衷を思うと、胸が苦しかった。
 ある日、私は、福井に電話を入れた。七九年(昭和五十四年)の九月――名誉会長になって間もない、私自身も自由に動けぬ時代であった。
 時計は既に午前零時を回っていた。電話に出たのは県青年部長であった。彼から逐一、実情を聞きながら、私は言った。
 「福井の皆さんも、悔しいだろう。しかし、こんなことが、いつまでも続くわけがない。大聖人が必ず裁いてくださる。それまで、福井の皆さんも、耐え抜いてください」
 「仏法は勝負だ。正義は必ず勝つ! 十年後には、はっきりするよ!」
 そして、福井訪問を約束して電話を切ったのである。
 福井は、遂に、遂に、「師子王の心」で奮い立った。
 二年後、武生文化会館でお目にかかった皆様の、あの雄々しき大英雄の姿は忘れられない。
6  そして、激戦の十年が過ぎた九〇年(平成二年)――私は、勝利の太陽に包まれた福井文化会館を訪問したのである。
 福井の同志の、あの晴れやかな顔、顔、顔。一緒に参加した石川・富山の友も、心の底から歓喜していた。
 我らは勝ちたり! 堂々たる福井の凱旋の大会は、日本一、世界一であった。
 また、草創の闘士である木水三郎初代支部長、故・福田まさ子初代婦人部長のご家族など、皆、後継の獅子たちが立派に育っておられる。実に嬉しい。
7  晩年、トルストイは書いた。
 「もしも諸君がただ今善事をなし得るならば、絶対にそれを延期してはならない」(『人生の道』原久一郎訳、岩波文庫)
 若き日に、そのトルストイの励ましを受けた作家のロマン・ロランは言った。
 「英雄というのは、自分にできることをする人だ」(『ジャン・クリストフ』豊島与志雄訳、『世界文学大系』47、筑摩書房)
 粘り強い挑戦と持続、決して諦めない負けじ魂――これこそ偉大な歴史をつくる力である。
 いかなる困難な環境も、自身の栄光の舞台に変えていけるのが、仏法であり、妙法である。
 今、人間世紀を拓く「勇者の福井」に、希望の太陽は赫々と昇った。
 「常勝関西」の一翼を担い、いよいよ「世界の福井」の本領を発揮する歓びの春が来た!
 私には聞こえる! 朗らかな福井の同志の敢闘に、あの地、この地から、潮のごとく沸き上がる、行進と喝采の響きが!

1
5