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日蓮大聖人・池田大作

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人間教育の勇者 教師の「情熱」が生命を触発

1998.8.12 随筆 新・人間革命1 (池田大作全集第129巻)

前後
4  かつて、小説『人間革命』の挿絵を担当してくださった三芳悌吉画伯の、こんな話を伺ったことがある。
 ――小学校二年生の時、母親が学校に行くと、壁に子供たちの絵が、張り出されていた。
 皆、鶏の絵であるが、どの子も、描いているのは、一、二羽である。
 しかし、三芳少年の絵には、籠の中の雄鳥、雌鳥を中心に、餌をついばんだり、駆けたり、空を飛んだりしている、たくさんのヒヨコが描かれていた。
 担任の教師は言った。
 「おもしろく楽しい絵です。特別上手とはいえませんが、こんな絵は初めてです。絵を描きたいといったら、紙や鉛筆を惜しまず与えてやってください」
 以来、母親は、貧しい暮らしのなかでも、紙と鉛筆はふんだんに与えてくれたという。
 教師のアドバイスがなければ、「画伯」の誕生はなかったかもしれない。
 この教師の鋭い洞察眼もまた、一人ひとりの児童の、将来を考える、強い思いやりが育んだものといえよう。
5  戸田先生は、牧口先生の教育学説を実践しようと、私塾「時習学館」を開設されたが、ここから、さまざまな人材が出ている。
 ゲーテ研究の大家として知られる、ドイツ文学者の山下肇先生も、教え子の一人である。
 山下先生は、こう述懐されている。
 「戸田先生自身が燃えていたんですね。我々が接していても、何か熱いものを感じた。触れると火傷しそうな熱気、覇気というか――。話をしていても、そういう迫力がじかに伝わってきました」
 実は、そこにこそ、教育の要諦がある。
 教育とは、幸福を築く力を開花させる、生命の触発作業であり、その触発の源泉こそ、教師の、子供たちを思う″燃える心″である。
 子供と徹してかかわる勇気も、探求心も、創意工夫も、情熱の産物である。
 そして、情熱は、使命の自覚から生まれるのだ。
 私も、教育に生命をかける決意をしている一人である。
 未来を決し、平和と価値を創造する根幹こそ、教育であるからだ。
 その人間教育の勇者こそ、わが教育部員であると信じたい。

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