Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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第5章 子どもに何を与えるか
「21世紀への母と子を語る」(池田大作全集第62巻)
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偉大な人の陰には偉大な母の存在が
池田
七年ほど前(一九九一年)、南アフリカの人権の闘士である、詩人のムチャーリ氏と会談しました。
氏は、投獄などの弾圧にも屈せず、アパルトヘイト(人種隔離政策)との闘争を続ける支えとなったのは、母親であったと語っていた。今も忘れられません。
「私が母から教わった最大の教訓は、どんな肌の色、信条、どのような文化背景をもっていても、みんな同じ人間である以上、同じように尊敬されなければならないということでした」
氏の母親は、この信条のままに、黒人だからという理由だけで差別を受けると、断固抗議し、一歩も退かなかった。氏は、そんな母親の姿を目の当たりにして、身をもって学んだといいます。
氏はしみじみ語っていました。「母が亡くなって、私は気づいたのです。私のもっている力は、母がくれたもの、母が残してくれたものだと。母の言葉は私の中に息づいています。母が私の中に生きているのです」と。
森本
“母子一体”の、勝利のドラマですね。
谷川
その会見の時のエピソードをうかがったことがあります。
会見の場所に美しく飾られた「生け花」に、ムチャーリ氏が視線を向けた時に、先生が「お父さま、お母さまのために生けました。ご両親の美しい生涯を偲んで」と声をかけられた。
すると、ムチャーリ氏が、「ありがとうございます。両親が今ここに見守っていてくれる気がします」と、満面の笑みで応えられた、と。
池田
大切な友人を、誠意をもってお迎えしたいとの気持ちからです。
“欧州統合の父”と呼ばれるカレルギー伯も、「母がいなかったら、私は決してヨーロッパ統合運動を始めることはなかったでしょう」と言い切っておられた。母親は、日本人のミツコ夫人です。
偉大な人の陰には、必ず偉大な母の存在がある――私もこの五〇年、いろんな家庭を見てきたが、つくづくこのことを実感します。
御書に、南条時光の信心を愛でられた日蓮大聖人が、「これは、親の志が形となってあらわれたものにちがいない」(1531㌻、趣意)と仰せになっている御文があります。広布の庭で颯爽と活躍している青年たちと接するたびに、お母さんの人柄というものが偲ばれることがよくあります。
決して、飾る必要はありません。失敗があってもいいのです。信念をもって、自ら決めた「希望の大道」を朗らかに進んでいく――そんな母親の生き方こそ、子どもに贈る最高の“財産”なのです。
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