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日蓮大聖人・池田大作

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義経  

詩歌・贈言「青年の譜」「広宣の詩」(池田大作全集第39巻)

前後
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 ああ鞍馬の山の朝風に
 さ霧は晴れて秋さやか
 木立の杉は黒ずみて
 陽光燦と眩しけれ
  
 けわしきみちは遠けれど
 くらしき修行ひとすじに
 十有余年の剣の舞
 父の仇秘め流離の旅
 京をはなれて夜な夜なに
 あゆみし路傍みちの主従らに
 かがやく明星夢はるか
 身を伏す彼方は平泉
  
 おお稲妻の知らせあり
 君もてよと兄君が
 心はやれど飛びゆけど
 幾山超えし黄瀬の川
  
 見よ雲は乱れて堅塞の
 峨々と岩壁いわつ一の谷
 嵐の前の木の葉にて
 人馬踏むべき道もなし
  
 名うての勇者ためらうも
 生死の誉れここなりと
 日の出の将に怖れなく
 ひよどり超えの奇襲戦
  
 潮は逆巻き天黒く
 鳴門の海は吼え叫び
 怒れる浪を蹴散らして
 鬼神の疾風はやてか船五艘
2  騎馬は雲乗り百余名
 決死の緒を締め屋島指す
 情もなきか炎立ち
 本陣崩れて愁恨譜しゅうこんふ
  
 瀬戸の内海なぎ晴れて
 時機ときは移りて潮流に
 まさに来れるときなりと
 鎧飛びる壇の浦
  
 われに勝あり白旗に
 胸は高鳴り身も軽く
 八艘飛びの勇姿の舞
 敵も味方も感嘆たん久し
  
 日輪しずかに西海に
 横笛悲しく消え去りぬ
 哀れ夕門平家らの
 打粛うちひしれし夢の波
  
 若気のこころ霽月せいげつ
 優雅のひかりうつつ風
 飛鳥ひちょうも騒ぐ勢力いきおい
 嫉みもくるし花都
  
 紅涙しばし腰越に
 懺悔の愁訴も空しけれ
 栄華も夢か都落ち
 残れる主従は君わずか
3  さくらの木々も雪吹きて
 落涙はらいし吉野山
 怪しみ追われる悲しさに
 胸を裂きたる安宅関
  
 草葉の陰の虫の音に
 峰のかなたのいただき
 有為転変の露と消え
 ああ草枕ひそかかなり
  
 春は暁ほのぼのと
 おのれを慕いし武士もののふ
 望もあわれの衣川
 若き義経散りにけり
  (1971.10.3)

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