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日蓮大聖人・池田大作

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第94回本部幹部会 新労働組合運動について

1967.11.30 「池田大作全集」第3巻

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1  十一月の戦い、大変にご苦労さまでした。さらにこの十二月も、記録映画「東京文化祭」の上映をはじめとして教学試験、家庭指導等々、皆さん方もさぞ多忙であると思います。私も随分多忙です。しかし、反対になにもすることがないとかえって虚無状態になってしまう。(笑い)やはり忙しくとも充実した人生のほうが幸せです。御本尊の光明に照らされ、妙法の栄光の座に連なって、人のために社会のためそして自らの宿命打破のために、この一生を有意義に送りきっていこうではありませんか。
 十一月の戦いをかえりみますと、十五万世帯に及ぶ折伏を達成したにもかかわらず、ほとんど事故もなく、本当に安心しました。これも幹部の皆さん方が、立派な指導力と社会性をもち、新時代にふさわしい指揮をとってきた証拠であり、慶賀にたえないところであります。(拍手)
 なお十二月と来年の一月は指導の月になっておりますが、ここで前進のためのエンジンを止めてしまうと、二月の“折伏の月”が大変やりにくくなることが考えられます。そこで、十二月と一月の二か月間で各地区一世帯程度の折伏を行ない、二月の折伏への助走としてはいかがかと考えます。ただし、この指導の月の折伏は、あくまで地区部長・地区担当員以上の幹部が行ない、班長・班担当員以下の人たちには楽をさせてあげたいと思いますがどうでしょうか。(拍手)そして、二月の折伏の成果に十二月・一月の折伏成果を加えて二月度の成果として発表する、つまり三か月間で班一世帯の折伏目標を達成するという楽な考え方で前進したいと提案するものですが、いかがでしょうか。(拍手)
2  次に総本山の総坊のことについてご報告いたします。ご承知のように、現在、一之坊から四之坊まで四棟が完成し、五之坊・六之坊の二棟は明年四月から着工して、再来年の九月ごろに完成する予定で準備が進んでおります。第一期工事の一之坊と三之坊は昭和四十一年七月に竣工し、総工費は三億五千三百五万九千三十円でありました。第二期工事の二之坊と四之坊は本年十月に竣工し、総工費は材料費等の値上がりで三億九千九百九十三万円かかりました。第三期工事の五之坊と六之坊は同じく鉄筋三階建てで、予算は第二期工事と同程度になると思います。これで、大客殿建立に連なる総坊の建設は六之坊までで全部終了することになります。したがって、理事会等の決定によりまして、大客殿建立のための御供養金の残額は、全て正本堂建立の予算の中に繰り入れさせていただきたいと思いますけれどもよろしいでしょうか。(拍手)
3  ここで労働組合の問題について一言申し上げておきます。すでにご承知のように、十一月十九日の第十六回青年部総会の席上において、新しい労働組合を結成するための検討を青年部諸君に提案いたしました。そして満場の賛同を得ましてこの検討にはいったわけであります。しかるにこの問題が、その後内外に非常な反響を呼んでおりますので、この席を借りて一言だけ申し上げておきたいと思います。私の本当の気持ちをいえば、今日の労働運動が労働者の利益を守るという本来の目的にかなっているのであれば、一切を総評や同盟に任せたいのです。また、その気持ちで今日までまいりました。しかし、これまでの選挙においても、一部の組合執行部が学会員を迫害し、信仰の自由、選挙の自由を侵す等、憲法に保障された基本的人権を侵害するといった種々の事件が次第にふえてきました。これは非常に残念な問題であり悲しい現実であります。
 古くは、北海道の夕張炭鉱事件からはじまって、九州の中里炭鉱、東北の尾去沢鉱業所、愛知の近藤紡績等々、純真な学会員が、ゆがんだ労組幹部の不当な弾圧をうけて苦しめられてきたのであります。裁判でも「これらの事件は組合執行部の政治偏重であり、団結権の乱用であると」の明確な判決がくだっておりますが、こうした組合幹部の偏見は、いまだに根強くはびこっているとの報告が多いのです。そこでここ二、三年の間に、「本来の労働組合の精神に立った理想的な労働組合をつくりたい」との声が、学会員を中心とする労働者の人々の間からわき上がってまいったのであります。(拍手)
 これまでに理事会等でも、何回かそうした要望の声が出されてまいりましたが、私としては、総評や同盟が、いつかは現在のゆがんだ姿勢を改め、本来の正しい労働運動の姿に立ち戻るであろうとの望みを託して、新しい労働組合の結成援助に踏み切ることをためらってきたのであります。しかし、大衆から遊離して独走する一部の労組指導者の実態、さらに、わが国産業界の発展の陰に、その犠牲とされているとしかいいようのない中小企業の労働者の現況等を見るにつけ、どうしてもこのまま放置するわけにはいかないと痛感しました。そこで私は、大衆福祉のためにも、公明党が立ち上がる以外にないと判断して先日のごとく提案し、青年部同志の賛同を得たしだいでありますが、その点ご了承を願うしだいであります。(拍手)
4  今後、第一段階としてまず十人程度のメンバーで小委員会をつくり、第二段階として、全国の労働者の代表九十人、公明党から相談役の形で十人協力参加して、合わせて百人によって委員会を構成し、組合結成の方式や綱領の起草などについて研究と実現とを進めていくことになったしだいであります。やがて委員会で理念・綱領等ができあがりましたら皆さん方に発表することになろうと思います。実際に具体化するのは、新聞でも発表されたように、来年の参院選以後になると思います。
 いずれにせよ、欧米における労働組合も、今日のように成長を遂げるまでには、百年以上の血みどろの戦いがありました。あるいは、数百年前の中世の職人組合からその源を発しているといっても過言ではありません。したがって、理想的な労働組合が一朝一夕にできるものではないことは、私もよく知っております。よってこの結成にあたっては、あくまでも慎重に、着実に、他の労働組合とも十分に話し合いながら、三年、五年、十年がかりで盤石な労働組合をつくっていきたいと提案しますが、いかがでしょうか。(拍手)新しい組合の基本的な路線は、当然、綱領で明らかにされてまいりますが、その活動は、あくまでも経済闘争を根幹として、政党のための組合でもなく、資本家のための御用組合でもなく、どこまでも労働者のための労働者自身の組合であることを明確にていおきたいと思いますが、いかがでしょうか。(拍手)
5  また、他の労働組合と対立したり労働者同士が争うような愚かな衝突は、どんなことがあっても避けなければならない。したがって政党支持については、日本国憲法の精神にのっとり、各人の自由とすることを原則として貫いてまいります。公明党だけを支持するとか、他の政党を支持するような人は加入させないといった偏狭な行き方は、決してしないようにしたいと思いますがいかがでしょうか。(拍手)あくまでも、労働組合の目的は、労働者の労働条件の改善と経済的地位の向上を推進することであり、その運動はこの本来の目的に立った正しい広々とした行き方をすべきであるということを主張しきっていただきたい。どうかこの基本線をご了解していただき、委員の方々もその精神にのっとって検討を進められるよう、よろしくお願いいたします。(拍手)
6  最後に、御書の一節を引き、信心と教学について一言しておきたいと思います。御義口伝上にいわく「信は価の如く解は宝の如し」また「信の外に解無く解の外に信無し」と。さらに同下には「信の処に解あり解の処に信あり」とも申されております。「信は価の如く」とは、すなわち信ずることによって宝を求めることができるとの意であります。「解は宝の如し」――「解」とは知恵のこと、教学です。教学は宝と同じであるとの御文であります。すなわちいかなる金銀・宝石・財宝よりも、日蓮大聖人の仏法を自身に会得していくことが最大無上の宝であるとの意味であります。そして、教学という宝の価値をば、最高度に生活に社会に発揮させていく力が信心であるとの仰せであります。価値のない宝は宝といえないように、教学があっても信心がなければまことの教学ではないのであります。
 また信心があるならば、価値は具体的に宝として具現されていくごとく、当然、教学へと進んでいくのであります。すなわち「信の外に解なく解の外に信なし」「信の処に解あり解の処に信あり」であります。したがって、信心と教学は一体不二のものであり、信心なくして教学なく、燃え上がる教学の研鑽なくして信心の向上もありえない。この大聖人の御聖訓を、とくにわれわれ幹部は心に銘記し、立派な新時代の指導者になるために、自ら実践していっていただきたいのであります。
7  十二月は、教学の試験がありますので、仏法の真髄たる大聖人の大生命哲学を、自ら求めて学ぼう積極的に試験をうけよう、また後輩にも試験をうけさせてあげよう、という自覚をもって前進していってください。そして、いちだんと自己の信心の向上を計っていただきたいことをお願いいたします。(拍手)
 なお、十二月はお歳暮の月でありますが、創価学会においては、会長をはじめいかなる幹部に対してもお歳暮を贈呈する必要はありません。創価学会の世界はあくまで信心第一を貫きとおしてまいります。したがって、私ども同志の間で物品をとおしての利害関係などがあってはならないのです。ただし、会社の上司や親戚友人の方々に対しては、お歳暮を贈ることも社会人として大事なことでありますし、そうした世間の交際については賢明な行き方をしていっていただきたい。
 この十二月も、来年の「栄光の年」への助走の月として、事故なく有意義に送っていただきたいことを心からお祈り申し上げまして、私の話とさせていただきます。十二月の幹部会のときにまたお互いに元気に集まりましょう。

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