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東京創価小学校第1回入学式――メッセー… 明るく、強く、伸びのびと

1978.4.9 「広布第二章の指針」第13巻

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1  待ちにまった創価小学校の第一回入学式、まことにおめでとうございます。
 皆さん方の希望にあふれた姿を見て、私はほんとうにうれしい。どうか、使命ある第一期生として、ひろびろとした自然に囲まれたなかで、勉強にスポーツに、伸びのびと成長していってください。皆さんの帽子や襟に輝いている創価小学校の記章は、きっといつまでも皆さん方を見守っていくことでしょう。
 また創価小学校は、誕生したばかりの若い学校であります。先生方、お父さん、お母さん方には、ここに集った”未来からの使者たち”をあたたかく見守り、ともどもに立派な伝統を築いていってくださいますよう心からお願い申し上げます。
2  さて皆さんは、新しい生活をまえにして胸を躍らせていることでしょう。そこで、スタートの意味をこめて、皆さんがよく知っている「イソップ物語」のなかから、一つの話を引いてみます。それは、愚かなロバの物語であります。
 あるとき、ロバが塩を背負って川の中を進んでいた。そのうち滑って転び、背中の塩が解けてしまい、荷物がたいへん軽くなった。喜んだロバは、いつも転んでやろうと、心に決めます。そしてあるとき、綿の荷物を背負って川にさしかかる。そこでロバは、また身軽になろうとして、わざと転ぶ。すると綿が水を吸いこんで非常に重くなってしまい、ロバは立ち上がることができず、死んでしまうという話であります。
 ロバは、重い荷物を背負うことをいやがった。そして、わざと転んで川の水に流してしまおうという、ずるい考えを起こしました。そのために、自分の命まで失ってしまったのであります。
 このように、いつも楽をしよう、楽をしょうとしている人は、最後は損をしてしまうのです。
 ロバが重い荷物を背負ったように、皆さん方もこれから、苦しいこと、つらいこと、重荷に思えるようなことがあるかもしれません。先生にしかられたり、勉強が思うように進まなくて悲しくなるときもあります。友達とケンカして、悔しくて悔しくてしようがないときもきっとあるでしょう。しかし、それらのことは、ぜんぶ、皆さんが大きな人間に成長していくための荷物といえましょう。
 冬の次にはかならず春がくるように、悲しいことのあとには、かならず楽しいこと、うれしいことがやってきます。竹は、どんなに大雪がつもってしなっても、けっして折れない。じっとしんぼうして、春になるとまたすくすくと成長していきます。
 だからといって、なんでも一人でがまんしていなさいというのではありません。両親と話しあうのもよい。先生や仲のよい友達に相談するのもよいでしょう。皆さんはこれから伸びゆく若竹です。心を大きく開いて、体を鍛え、竹のようにしなやかで、ねばり強い”がんばり”を身につけていっていただきたい。
3  本を読みルールを守る子に
 次に、おおいに良い本を読もう、ということを申し上げておきます。
 皆さんのなかには、本を読むよりも、テレビを見たほうがおもしろいという人もあるかもしれません。私も、テレビが悪いとは思いません。しかし読書は、それ以上に皆さんを、いまだかつて知らないひろびろとした世界へ案内してくれるものです。
 私も、小学生時代に貧乏であまり本が買えなかったため、学校の図書室や近所の図書館の本を、夢中になって読みました。そのころ読んだ「ロビンソン漂流記」や「トム・ソーヤーの冒険」「宝島」などは、いまでもはっきり覚えております。
 本ばかり読んでいて、身体を鍛えたり、学校の勉強をすることがおろそかになっては困りますが、ともかく、皆さん方は、記憶力や想像力のすばらしい年代であります。その時期に、できるだけ世界の名作に親しんでいってください。
 また、学校という新しい生活には、決まりとかルールというものがある。友達と遊んでいても、自分だけ決まりを守らないで勝手なことをしていれば、仲間外れにされてしまう。道を歩いていても、ルールを守らず、赤信号のとき渡ってしまえば、車にひかれてしまうでしよう。
 どうか皆さんは、朝「いってきます」と元気に家を出たならば、決められたルールをきちんと守る、明るい少年少女であってください。小さいときからこのような習慣を身につけておくと、大きくなってから非常に役に立つものです。大人になると社会の約東、ルールを無視すれば、まったく信用されなくなってしまうものです。
 このこととも関連しますが、どうか”けじめ”はきちんとしてください。私は、とくに言葉遣いをはっきりさせることが大切だと思います。
 「いってきます」「ただいま」「おはようございます」「さようなら」――言葉遣いのはっきりした子供は、見ていて非常に気持ちがいい。なんでもないことのようであっても、言葉遣いがはっきりしてすがすがしい人は、かならず心豊かな人になっていきます。
 最後に皆さん方が、こうして元気に入学式を迎えることができたのも、両親のおかげです。お父さん、お母さんを大切にしてください。兄弟を大切にしてくださいそれと同じように、友達、またほかの人たち、とくに恵まれないかわいそうな入たちを、大切にしていってください。みんなに対する思いやりを忘れない、大きな、広い心をもつた少年であってください。
 皆さんがよく学び、よく遊び、立派な小学生に成長してくださるよう、心からお願いし、私のメッセージとさせていただきます。

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