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戸田記念墓苑開苑式 生死不二の永遠の都に

1977.10.2 「広布第二章の指針」第11巻

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1  ホール・ケインの名著「永遠の都」のなかに「常に断崖の縁を歩いてきた人間にとって、最大の緊急事態も、いわば日常茶飯の出来事にすぎない」との一節がある。
 牧口初代会長も、戸田前会長も、そして私も、広宣流布という未聞の平和社会実現のため、つねに断崖の縁を歩く思いできたといっても過言ではない。この気持ちは、わが同志も同じであろう。
 刻々と移りゆく時代の変遷のなかで、また社会の動向のなかで、創価学会は、いつどのような状況下におかれるか予測すらできない歴史を歩み、そのような人生を生きぬいてきた。そのような人間の不動の信念からするならば、たしかに「最大の緊急事態も、いわば日常茶飯の出来事にすぎない」のが実感であり、またそれがほんとうの人間であり、革命児であるといえよう。
 私は、このような透徹した信念に貰かれた人生観のなかに、人間としての真実の価値があるということを申し上げておきたい。
2  有名な御書の一節を拝したい。「法華経を信ずる人は冬のごとし冬は必ず春となる、いまだ昔よりきかず・みず冬の秋とかへれる事を」――。
 この御文の意味は、そのまま、この厚田村の風情に通ずる。厚田の冬は”北海凍る”との詩にも詠んだごとく、たしかに北風の村であり、厳寒の地であるかもしれない。しかし”法華経は冬の信心である”――ここに、私が恩師の故郷を心から愛するゆえんもある。
 真実の人間の価値というものは、その人の生命的境涯にあるといえる。温暖無風の環境で、なに不自由なく生きていけるのは、一見幸せのようであるが、かえって安逸に流れ、堕落し、人間としての成長を忘れがちである。
 いかに貧しく、また寒くて厳しい境遇であろうとも、希望に燃え、生きいきとわが生命を発動させていくなかにこそ、人生の真の価値があり、このことを知っている人は、まさしく人生に勝った人といえるであろう。
 ともかく”法華経は冬の信心である””この冬はかならず春となるのだ”――この実践を繰り返していくことが、人生をもっとも豊かに充実させていく根本方軌であることを忘れないでいただきたい。
3  厳寒の地における春の訪れには、暖かな南国では味わうことのできない大きな希望と喜びがはらまれているものである。この意味からも私どもは、この戸田前会長の故郷である厚田の大地を、私を含めて全学会員の心の故郷ともし、広布の”生死不二の永遠の都”としていくよう提案したい。(全員が賛同の挙手、そして拍手)
 この戸田記念墓苑には、国内だけにとどまらず、将来は世界各国からも多くの人々がみえるであろう。そうした希望あふれる未来展望のうえからも、厚田の人々に対しては、信仰の有無にかかわらず、生命と生命の触れあいをとおして、麗しい理想的な人間共和の世界を築いていただきたいことを、心から念願してやまない。
 また、この戸田記念墓苑を訪れた人は、先祖代々への追善回向とともに、みずからも蘇生して帰るというようであってほしい。その意味から、私はこの戸田記念墓苑こそ”人間蘇生の憩いの広場”と意義づけておきたい。
 ともかく、どのような厳しい烈風に対しても、私は屋根となり、防波堤となっていく決意である。皆さん方は安心して、楽しく和やかに、人生の春風を共有しあっていかれるよう祈っている。(要旨)

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