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日蓮大聖人・池田大作

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3 教育の使命と青年への期待  

「希望の選択」ディビッド・クリーガー(池田大作全集第110巻)

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8  時代の扉を開けるのはつねに青年の挑戦
 池田 現実の泥沼に埋没せず、大いなる理想に生きぬく――そこに青年の証があります。新しき時代の扉を開けるのは、つねに青年の挑戦によってなのです。
 私たちの対談のタイトルは、「希望の選択」ですが、「希望」とは「青年」の異名ともいえましょう。
 対談を締めくくるにあたり、所長と私がこよなく愛する、チリの民衆詩人ネルーダの、「希望」にちなんだ詩を、青年たちに贈りたいと思います。
   希望の一端を
   自分の肩にになわずして何ができよう?
   おれたちの長い闘いの流れのなかで
   手から手へと継がれておれのところにきた旗を
   握って進まずして何ができよう?
   (『ネルーダ詩集』大島博光訳、『世界の詩集』20所収、角川書店)
 クリーガー ネルーダの詩には、責任感と持続の精神、そして青年の理想的な魂が満ちあふれています。歴史の転換点には、必ず青年の行動がありました。しかし、過去のいかなる世代も、現代の青年たちが取り組むべき課題ほど、大きな挑戦には直面してこなかったでしょう。今日ほど、「勇気ある行動」が絶対的に必要とされる時代はなかったと思うのです。
 世界の青年たちが、人間を分断している危険な境界を認識し、分断に橋を架け、すべての人間のためにより良い未来を築くよう、私は強く念願しています。
 そして、最大の敬意をこめて、私も、対話を終えるにあたり、青年たちにエールを贈りたい。これは、二〇〇〇年三月に来日した折、創価学園の卒業生に贈った、詩の一節です。
   君は奇跡なんだ
   君は 君自身への創造の贈り物なんだ
   君には 目的がある
   だからここにいるんだ
   君は それを
   見つけ出さなければならない
   君が ここにいることが尊いんだ
   そして君が世界を変えていくんだ!
 池田 新たなる世紀を、「共生の世紀」へ、「希望の世紀」へと転換できるか否かは、「人類意識」に目覚めた世界市民が、グローバルな連帯の輪をいかに広げ、活躍しゆくかにかかっているといってよいでしょう。
 大切なことは、民衆一人一人が賢明になることです。「生命の尊厳」に根ざした確かな哲学に生きることです。民衆が、戦争という"権力の暴走"を止める力を持たなければ、地球上から「悲惨」と「不幸」の二字を消し去ることは、永遠に不可能です。
 この世界を、「戦争」と「暴力」の論理が支配する社会ではなく、皆が幸福となり、勝利者となる「人間共和」の社会を創造するために、断固、闘いぬいていかねばなりません。私は、その決意と勇気をもって行動することこそ、「人類の希望を選択する道」であると思っております。運命や環境に負けるのではなく、みずからの力で歴史を拓くところに、人間の証があり、真価があるのです。
 その意味からも、クリーガー所長の運動が、今後、さらに広がり、人類をリードしゆく、大いなる平和の潮流となりゆくことを祈っております。
 私どもSGIも、「平和」「文化」「教育」を基調とする民衆運動によって、人類の未来に貢献していけるよう、全力を尽くしていく決心です。
 尊敬するクリーガー所長と、このような有意義な語らいを持てましたことを、心から感謝いたしております。まことにありがとうございました。

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