Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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2 行動だけが「平和」を創る  

「希望の選択」ディビッド・クリーガー(池田大作全集第110巻)

前後
7  変革は時代の必然
 池田 そこで所長におうかがいしたいのですが、これまで平和のための行動を続けるなかで、もっとも勇気づけられたこと、うれしかったことは、どのようなことでしたか。
 クリーガー 喜ばしいことに、最近はいくつかの重要な点で世界に変化が起きており、私は意を強くしています。国家間の戦争の数は減少し、生物・化学兵器の禁止についても前進がありました。長らく続いた冷戦も終わりましたし、核軍縮への前進もいくらかありました。
 そしていくつかの独裁政権が、より民主的な統治形態に交代しました。これらはすべて明るい兆しです。まだまだ十分ではありませんが、これらは小さな変化ではないことも事実です。私たちの住む世界が、このままの状態で続いてよいはずはありません。何よりも私は人類に対する"核の脅威"を終わらせたいのです。そして、紛争解決の手段としての戦争がなくなることを望みます。
 これらは、ただ「そうすべきだ」と声をあげるだけでは達成できません。だからこそ、私は行動を呼びかけてきました。私は、全身全霊で取り組んだ運動に前進の兆しが見えた時、たとえそれが小さなものであっても、いちばん幸せを感じます。
 池田 所長が言われるように、時代は着実に変わってきています。
 第二次世界大戦後まもなく、東西冷戦のイデオロギー対決が激化するなかで、師の戸田会長が「地球民族主義」という理念を提唱したとき、多くの人々が夢物語だと笑いました。しかし今日では、民族主義や国家主義を、どう乗り越えるかが、世界が直面する課題となってきているのです。「現実的でないから」と安易に現状追認をするのは、惰性におちいった思考法です。たんに「今まで不可能だったのだから、今後も不可能である」と考えることは、正常な判断を停止していることにほかなりません。
 大切なのは、"変革は時代の必然である"との確信にもとづく行動でしょう。時代に合わない無用なものであり、有害なものであると人々が判断すれば、奴隷制やアパルトヘイトが消滅したのと同じく、軍備をなくしていくことも、まったく無理な話ではないと思います。国際世論の高まりを受けて、「対人・地雷全面禁止条約」がわずか一年たらずで成立をみたように、核兵器廃絶も不可能ではないし、むしろ私たちはその道を開いていかねばならないでしょう。
 クリーガー それこそが私の意図するところであり、目標であり、最大の望みです。
 それは可能であり、そして人類の未来の安全にとって必要なことなのです。私たちの時代における最大の挑戦であり、全人類にとって必要なことなのです。それは、全人類にとっての真の転換点になると、私は考えています。
 私たちに選択の余地はありません。この現代の最重要の問題に対し、行動を起こすのみです。

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