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日蓮大聖人・池田大作

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教育の使命  

「美しき獅子の魂」アクシニア・D・ジュロヴァ(池田大作全集第109巻)

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13  池田 コンピューターに対する認識の仕方が、今日の情報化社会の“ポイント”です。
 ジュロヴァ 現在、あらゆる領域で、アンバランスな状態が見られると思います。教育の分野で言えば、百科事典的、基礎的な知識を元にして、それを用いる力をどのように養っていくかが、大事になると思います。「教育の未来」を一言で言うとすれば、「知識」と「能力」のバランスであると思います。バランスがとれれば、自己完成のために自分が何ができるかということを、自分で選択することができます。
 池田 私は、「知識」を活用する能力、つまり、「知恵」の源泉となるものこそ、人間の目的観や価値観であり、これらを育む「人間教育」に、今一度、焦点を当てるべきだと思っています。最近、日本のある国立大学で、「教育学部」を「教育人間科学部」に改組した例もあります。
 ジュロヴァ ソフィア大学では、つねに基本的な主題についての人文科学が優勢でした。一九八九年以前も、また現在も、ブルガリアでは先進的な科学技術が不足していることが痛感されてきました。そのために、科学技術の成果に対する関心が非常に大きいのです。しかし私は、間もなく、この要求が十分に満足させられることを期待しております。
 池田 私も、貴国における科学技術教育の充実を希望しております。これまで、さまざまな苦難を乗り越えて、新しい文化を形成してきた貴国だからこそ、「科学技術」と「精神性」のバランスをとり、科学技術を活用していける人材を数多く輩出されることを念願しております。
 ジュロヴァ 現在、暴力や欲望がはびこっている社会のなかで、教育システムの主な目的は、人間、文化、精神を創造することです。適切な教育システムを
 展開していくのは、きわめてむずかしいことですが、東欧には周期的に非常に困難な時期があり、その時期にこそ、みずからの精神と歴史を、さらにいっそう深く強靭なものとしてきた経験があります。ゆえに、私は今、伝統文化や経験と、未来世界が提供するものとの間で、正しい選択がなされるにちがいない、と期待しているのです。

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