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文学について  

「美しき獅子の魂」アクシニア・D・ジュロヴァ(池田大作全集第109巻)

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13  池田 日本の児童文学において、現代の状況にかんがみてのいちじるしい構造の変化は、あまり見受けられません。確かに漫画を意識した絵本や、テレビのキャラクターを物語にしたものなどが多くなっているようですが、それは構造的な変化と言えるようなものではないと思います。
 聞くところによると、今、読まれている児童書の傾向性として、一つにはテレビなどのメディアを意識したものがある一方で、昔ながらの古典的な物語をアレンジしたものにも人気があるようです。古くから親しまれてきた古典的なものは、人間を描いているために、今の子どもたちにも親しまれるところがあるのだと思います。
 ジュロヴァ 若いブルガリアの作家たちは、変化の兆候を示しました。しかし結論を出すのは早すぎます。そして、未来を予言するのも早すぎます。
 子どもたちは、私たちからよごされた地球環境を受け継ぎましたが、陰惨な悲観主義には屈しないでしょう。しかし、子どもたちの無関心が今のペースで増大し続けていくならば、文学は子どもの読者たちに、よい効果をあたえなくなるでしょう。
 私は、児童文学には、「未来の文学」への道があることを信じたいと思います。私はつねに、人間が知識を渇望することに心を打たれてきました。今の「情報化時代」にあって、知識は児童文学を刺激するものであるとともに、知識をあたえることが、児童文学の責任でもあります。児童文学は、人々と文化との間の親しさを育み、また、諸文明が相互に理解しあうのに役立つのです。

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