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日蓮大聖人・池田大作

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新世紀第4回関西総会、韓国・百済芸術大… 断じて勝つ! それが関西の使命

2004.11.23 スピーチ(2004.9〜)(池田大作全集第97巻)

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1  聡明な、大思に報いる人に
 本日は、盛大な授与式を挙行してくださり、たいへんにありがとうございます。
 また、関西の皆さん、遠くから集ってくださり、ありがとう! おおきに! ごめんやす!(笑い、拍手)
 きょうの総会を記念して、関西女子部の皆さん方が、手作りの「三百六十五日『幸福勝利』日めくり御書」を届けてくださった。関西女子部の教学室の皆さんが編纂してくださったものである。
 教学室の方、いらっしゃいますか。(代表が挙手する)
 皆さんに、よろしくお伝えください。大事にしますから。本当にありがとう!
 この「日めくり御書」の、きょう十一月二十三日のカードには、有名な「報恩抄」の次の一節が記されている。
 「仏法を学ぶ人は、父母の恩、師匠の恩、国土・社会の恩を忘れてはならない。この大恩に報いるためには、必ず、仏法の奥底を学び、修行して、智者とならなければならない」(御書二九三ページ、通解)
 ひとたび、仏法を学んだ人は、智慧のある聡明な人間となって、多くの方々の大恩に報いていかねばならない――関西の青年の皆さんは、この大聖人の教えのとおりの青春であってください!
2  青春の苦労が未来の大建築を
 最初に、偉大なる韓国の「知性の言葉」に学びたい。
 貴国の独立の大指導者である金九キムグ先生は叫ばれました。
 「よき民主主義政治は、よき教育から始められねばならない」(『白凡逸志――金九自叙伝』梶村秀樹訳注、平凡社)
 すべては教育から始まる。その信念が光る不朽の言葉です。
 続いて、十五世紀の朝鮮王朝(李氏りし朝鮮)の名君として名高い世宗セジョン大王――。
 恩師の戸田先生も世宗大王を深く敬愛し、私も若き日から、大王の箴言を胸に焼きつけてきました。世宗大王は言われた。
 「若くして苦労すると、大きくなって立派になる」(『世宗実録』85、国史編纂委員会)
 若き皆さんも、今は、苦労の連続にちがいない。毎日、大変であろう。しかし、苦労をさける人間は立派になれない。みずから求めて試練のなかに飛び込んでいくことです。青春時代は、ぞんぶんに苦労して、″自分自身″という「未来の大建築」の土台をつくっていく時なのです。
 さらに世宗大王は述べておられる。
 「戦いの勝ち負けは、一人の勇気、一人の臆病で決まる」(同18)
 戦いに勝つか負けるか――それは、一人が勇者であるか、臆病者であるかで決まってしまう。
 ゆえに、一人立つ勇者となって、常勝関西をリードしていくのが、関西の青年の使命なのです。
3  晴れわたる歴史的な関西の総会を、諸天も祝福しています。
 富士の山も厳然と、きょうの日を見つめておりました。常勝関西の記念総会、おめでとう!
 きょうは、関西の同志の皆さんが、勇んで東京に来てくださった。私たち夫婦も、うれしい。東京の同志も本当に、うれしい。皆が待っていました。本当にありがとう!(拍手)
 東京が広宣流布の「頭脳」であるならば、関西は「心臓部」である。そう私は確信しています。
 常勝関西こそ、永遠に、わが創価学会の精神の根幹である「信行学」の模範となって進みゆく使命があるのです。そして、常勝関西とそ、広宣流布の先頭を走り、あらゆる戦いを完壁に勝ち抜くことが運命づけられているのです。そのことを関西の皆さんは、強く強く認識していただきたい。
 私がいちばん信頼している関西です。
 関西で牢獄に入ったのですから。
 関西で戸田先生をお守りしたのですから。
 関西で不敗の創価学会をつくったのですから。
 皆さんは、その大関西の責住と栄光をいちだんと誇り高く、明確に掲げていっていただきたい。
 日本のために! 世界のために! 全同志のために!
 関西がいれば大丈夫。関西がいれば何の心配もない――それが私の偽らざる気持ちなのです。
4  女性は社会の花 人類の太陽!
 かつて貴国の独立運動の時代を生きた女性の音楽教師・尹貞媛ユンジョンウォン先生は、こう語っておられます。
 「女性は国の母であり、社会の花であり、人類の太陽です」
 「女性たちの生き生きとした活躍がなければ、人間社会は、どれほど無味乾燥な暗黒の天地となってしまうことでしょうか」(崔銀喜『ドキュメンタリー――韓国開化女性熱戦』正音社)
 まったく、そのとおりです。私たち学会も、婦人部や女子部の皆さんがいるから、楽しく、朗らかに進んでいけるのです。
 ここにお迎えした李桓儀イーファンウイ理事長の令夫人であられる全順南チョンスンナム女史は、貴・百済芸術大学を厳然と守られるとともに、長年にわたり、女性指導者の育成に尽力してこられました。
 この気高き令夫人をはじめ、韓国と関西の尊貴な「太陽の母」の皆さま方に、私たちは深く感謝を捧げたいのです。(拍手)
5  日本は韓国から大きな恩恵
 心から尊敬申し上げる李理事長ご夫妻。さらに李起薫イーギフン学長。そして、ご臨席の皆さま方。
 ただ今、二十一世紀の文化芸術を力強くリードされゆく教育の大城から、私は妻とともに、感極まる思いで、最高に栄えある「名誉教授」の称号を拝受いたしました。
 李理事長のご厚情につつまれ、きょうは、私たち夫婦にとって、かけがえのない同志である韓国SGI、そして関西創価学会の皆さんとご一緒に、永遠に忘れ得ぬ喜びの日を刻むことができました。まことに、まことに、ありがとうございました。(拍手)
 あらためて申し上げるまでもなく、貴大学がその名に掲げた「百済」は、日本が計り知れない文化の大恩を受けた天地です。日本は、文化・学術・技術など、さまざまな点において、貴国にお世話になっており、貴国から大きな恩恵を受けてきたのです。
 とりわけ、貴国とわが関西との縁は、格別に深く、そして広い。
 私が対談集(『人間革命と人間の条件』。本全集第4巻収録)を発刊したフランスの行動する文化人アンドレ・マルロー氏も、″関西で開花した百済伝来の芸術作品こそ、日本がもっとも誇りとし、大切に守るべき宝のなかの宝である″と力説してやみませんでした。
 日蓮仏法の御書でも、「百済国より始めて仏法渡る」等と、繰り返し、繰り返し、百済の大恩が述べられているのです。
6  試練を越えて正義は勝つ
 振り返れば、関西は、仏教が日本に定着できるか、それとも激しい反発によって排斥されてしまうかという歴史の舞台となりました。その歴史のなかで、関西に根を張った百済の人々は、仏教による平和と文化の黄金時代を開いていくのに、大きな役割を果たされたのであります。
 百済には、文化の開拓精神が光っています。それは、勇んで新たな天地を開き、新たな友情を結んで、新たな文化を築きあげる。そして、不滅の勝利の歴史を創り残しゆくという魂であります。
 日本は、この精神に学ばなくてはならない。私は、そう強く訴えたい。
 名高い朝鮮王朝の古典文学『春香伝しゅんこうでん』などにも、「いかなる試練も克服して、正義は、必ず最後に勝利を飾る」という民衆の勝鬨が謳われています。
 こうした熱き偉大な創造の血潮を、現代に、はつらつと復興されているのが、まさしく貴大学であると、私は賞讃したいのです。(拍手)
 大学建設は戦いです。大学を創立した私には、大学の真価が、よくわかります。
 ともあれ、正義の民衆が必ず勝利するという精神は、わが関西魂とも、見事に一致します。
 私は「関西、頑張れ!」と申し上げたい。
 青年部の皆さんは、まだ生まれていない時代だと思うが、私は二十八歳の時(昭和三十一年)、″大阪の戦い″の指揮を執った。そして、絶対に勝てないと言われた劣勢をはね返し、大勝利の金字塔を打ち立てた。全国的にも大きな注目を集め、ある新聞は「″まさか″が実現」と大々的に報道したほどである。あの時、関西中が燃えた。日本中が驚嘆した。
 私が厳然たる勝利の歴史をつくり、創価学会の本当の路線が出発した地こそ、関西なのである。
 私は、関西を信じている。関西の同志の皆さん、頼みます!(拍手)
 関西の友は、明るい。一緒にいると楽しい。関西の言葉も、私は好きである。皆さんにお会いでき、本当にうれしい。
7  正邪の峻別が学術の根本
 二百年ほど前、貴国の大詩人・丁若鏞チョンヤギョン先生は、″学術の根本の目的は、「正邪の峻別」にある″ことを強く訴えました。
 善か悪か、それを峻別してこそ本当の学問である。まさに、鋭く急所を突いた思想であります。
 嫉妬の讒言を受け、何度も迫害された、この大詩人は、こう喝破しています。
 「もともとの志を失った悪人が、撹乱しようと陰謀を企む時は、必ず先に、流言飛語を広め、民の心を動揺させるものだ」
 流言飛語とは、″事実無根のウソ″のことです。今も、昔も、方程式は同じです。
 ――そうした諸悪は、断固として切り返せ! 打ち破れ!
 そして真実の「善」と「美」の世界を、断じて護り、広げゆけ!
 これこそ、真の芸術家である。これこそ、まことの文化人である――。
 こう、貴国の戦う詩人は教えているのです。
 ここにおられるイー理事長は、朝鮮王朝の正統の流れを汲む名門中の名門に育たれました。
 若き日は勇気ある言論人として、弾圧にも怯まず、烈々たる破邪顕正のぺンを振るい、権力の不正をまっこうからただした。
 さらに、道知事として、また国会議員として、民衆のために奔走してこられました。
 そして理事長は、長年の夢であった教育の聖業に身を捧げ、あらゆる艱難を乗り越えて、貴・百済芸術大学を創立されたのです。(拍手)
 それはまた、″民の声に学べ! そして、貧しい人々、悩める人々の側に立って、戦え!″という師匠の教えに決然と応えてこられた、使命と勝利の崇高なる人生の劇なのです。
8  「対話」「文化」の波を起こせ
 ともあれ、時代はさまざまな潮流がぶつかり、渦を巻いて、新たな複雑、動乱の様相を呈している。世界は暗くなってしまった。
 だからこそ、「暴力」に対しては「対話」の波をつくる以外にない。
 「戦争」に対しては「文化」の波をつくる以外にない。
 「虚偽」に対しては「真実」の波をつくる以外にない。
 そして、「破壊」に対しては「創造」の波をつくる以外にないのです。
 断じて強く、また賢く波を起こし、前進していかねばなりません。
 その意味からも、私たちは、今ふたたび、あの百済の「文化の開拓精神」に深く学びながら、人間生命の無限の創造力と智慧を、闊達に、そして威風堂々と発揮していきたい。これこそが、わが創価学会の精神でもあります。
 思えば江戸時代、貴国の「通信使」の方々と、心の通いあう文化の交流を、そして人間の交流を繰り広げた天地の一つが、関西でした。
 当時、貴国の通信使の一行が「大坂の書籍の盛んなること、じつに天下の壮観である」(申維翰『海游録――朝鮮通信使の日本紀行』姜在彦訳、平凡社)と感嘆した言葉も、今日まで伝えられています。良書の普及こそ、健全な文化の基盤なのであります。
 今、大阪の上町うえまち台地(大阪市)には、希望あふれる新たな関西の記念会館(関西池田記念会館)の建設が進んでいる。(=二〇〇六年十月に完成)
 いよいよ、これからである。この五十年は勝ちました。今、私は、次の五十年へ向かって戦いを開始しています。じつは、この記念会館が建つ地域は、かつて「百済川」が流れ、「百済野」と呼ばれた、ゆかりの地です。過去から現在、そして未来へ、韓日友好の大河は、泊々と流れ通っている――そういう意義があることを、関西の皆さんは、よく知っていただきたい。
9  青年は闘争精神で立て
 貴大学のシンボルマークには、新しき星が、世界へ、宇宙へ、ダイナミックに文化創造のエネルギーを放ちゆく光彩が描かれております。
 私たちは、貴大学、そして貴国との友情を、さらにいちだんと深めてまいりたい。韓国、そして中国と友好を結ぶことができなければ、日本の未来は暗い。日本は、孤立してしまいます。
 日本は韓国や中国から文化を吸収し、発展してきたのです。「ナラ(奈良)」をはじめ、貴国に由来する言葉も、たくさん残っております。(「ナラ」は「国」などを意味する韓国語)
 ともあれ、「常勝関西」は学会にとって絶対になくてはならない意義深き天地です。関西には、永遠に正義の勝利を決定づける使命がある。
 最後に、韓国独立の雄弁な大指導者・呂運亨ヨウニヨン先生の言葉を、私は関西の青年部に贈りたい。
 「ひとたび倒れても、また立ち上がって戦う闘争精神とそ、青年が受け継がねばならない精神である」
 「戦え、そして勝利するのだ! 国土が暗くとも、胸の中には光を抱け! 歴史は、厳正に審判するであろう」(「夢陽 呂運亨先生記念事業会」のホームページから)
 敬愛してやまぬ貴大学の百載無窮のご発展を、私と妻は一生涯、真剣に祈りぬいてまいります。さらに、尊敬するイー理事長をはじめ会場の皆さま方、そして愛する全関西の同志の百福荘厳な常勝の人生を、心よりお祈り申し上げます。
 カムサ・ハムニダ!(韓国語で「ありがとうございました」)
 (東京牧口記念会館)

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