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日蓮大聖人・池田大作

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第九章 心と心結ぶ文化の道を求めて  

「太陽と大地開拓の曲」児玉良一(池田大作全集第61巻)

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3  陽気な国民性
 池田 日本とブラジルでは人々の性格はだいぶ違うと思われますか。
 児玉 ブラジル人はたいへんに陽気な性格です。「どんなに生活が苦しくても、いつかよくなる」という希望は必ず持ってます。それが陽気さになって表れているんじゃないでしょうか。
 池田 象徴的な点ですね。ブラジル人の陽気さと言えば、なんといってもリオのカーニバルです。あの華やかな一大絵巻を、だれもが一度は見たいと言いますね。
 児玉 私はリオじゃなくて、サンパウロのカーニバルを高いところから見たことがあります。飾り立てた山車を馬が引いて、それに女の人が乗ってね。今と違って小規模で、山車も二台くらい。大部分が歩いてパレードしてましたね。
 池田 児玉さんは、サンバを踊ったことは。(笑い)
 児玉 それが、いつでしたか、ちょっと踊ったことがあります。(笑い)
 池田 さすがですね。それでは、「日本人でよかった」と思ったことはありますか。
 児玉 それはよかったですよ。最初はめずらしくてジロジロ見られましたけど、ブラジルの中に日本の一つの歴史ができたんですから。それとブラジルに日本のいいところを認識させたということかね。
 池田 「ブラジルの中に日本の一つの歴史ができた」――たいへんなことです。いずこの天地にあっても、そこで新しい「歴史」を刻み残した人は、勝利者です。
 さて最近、日本ではお年寄りの「生き甲斐」が問題になっています。ブラジルではどうですか。
 児玉 ブラジルではそういうものはないと思います。どちらかというと豊かな国の問題じゃないですか。ここではまだ生活がたいへんですから、お年寄りも健康であれば何かの形で頑張っています。
 池田 ブラジルの日系人に、何か残しておきたい伝統・習慣は。
 児玉 とくにありませんけど、ブラジルはまだたいへんな国ですから、その発展に貢献し、子どもの教育に力を入れていただきたいと思います。
 池田 ブラジルは魅力的で奥深い国ですが、今後さらにどのように発展していくと思いますか。
 児玉 ブラジル人は陽気で大らかです。けれど、もっと勤勉になって、仕事をすることが必要でしょうね。この点では日本人を見習わなくてはなりません。
 また政治家とかはその模範を示して、国民にいい影響をあたえなければいけない。
 池田 それは日本も同じです。(笑い)
 児玉 日本は、真剣で真面目な国だと思います。日本の男性は勤勉で、よく仕事をすることでブラジル人のなかでも有名です。
 「どうしてそんなに仕事をしなくちゃいけないのか」(笑い)とよく言われます。
 それに女性もよく働きますし、親切です。ブラジルでは女性を尊敬します。日本の女性はとくに尊敬されます。
 でも、日本の会社に勤めることを嫌がる人もいます。あまりにも多く仕事をさせられて、給料が安いからです。
 池田 二世の人たちからは、“日本の会社では、仕事上の権限をあたえられる機会が少なくて、張りあいや楽しみがない”という不満の声も多いと聞きました。
 人生に対する考え方の違いというか、そういう点を見直していくことは、今後の日本人が心すべき大きなポイントです。
 児玉 日本は狭い国で、人口が多いし、一人一人が一生懸命努力しなければいけないのではないですか。そうすると、まわりの人に、いちいち気をつかう余裕もなくなってきますよね。ブラジルは何もかも大きいし、競争も激しくないから大らかになるんでしょう。
 池田 一つ一つ丁寧に答えてくださり、申し訳ありません。
 児玉 いえ、いえ、大丈夫ですから。
 池田 では、児玉さんが日本語でいちばん好きな言葉は何ですか。
 児玉 「ありがとう」が好きですね。
 池田 勤勉・誠実、そして感謝――。児玉さんの人生のなかに、日本人の忘れかけている大切な「心」が生きているように思えてなりません。
 児玉 いやいや。でも、最近の若い日本の人たちを見てると、“ブラジルにいる日本人のほうが日本人らしいな”(笑い)と感じることもありますよね。
 池田 今、ブラジル人の一人として日本の人々に要望はありますか。また、ブラジルの人々に対して何か望まれることは。
 児玉 むずかしいことはよくわからんですが、日本には、ブラジルのことをもっと信頼してもらいたいですね。
 また、ブラジルはこれからは、もっと自分たちの力で国をよくしていかねば。
 池田 鋭いご意見です。では、もう一つ、日本人が外国の人と交流するとき、こうしたほうがいいと思うことはありますか。
 児玉 日本人は無口ですね。いらないことはあまりしゃべらない(笑い)。まあ、私みたいなもんじゃ。(大笑い)
 でも、恥をかいてもどんどん話をするのは大事なことです。私らもブラジルに来たら、とにかく言葉を覚えないと食えないから必死で話しました。
 池田 私も青年たちに“語学は度胸”とよくアドバイスするんですよ。

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