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日蓮大聖人・池田大作

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創価学園1 中学校・高等学校[昭和61年度]

教育指針 創価学園(1)(池田大作全集第56巻)

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9  関西創価中学・高等学校 第十二回卒業式(メッセージ)〈昭和62年3月16日〉
 「根本の使命」を胸中に
 晴れの卒業、本当におめでとう。皆さんの胸は、新たな旅立ちへの期待でいっぱいのことでしょう。どうか、青春の学舎で勉学と友情を深めつつ、胸中に刻んだ「根本の使命」だけは、絶対に失うことなく、新たな世界へ勇んで飛翔していってください。
 トロヤ文明、ミケネ文明の発見者として知られるハインリッヒ・シュリーマンは「トロヤやミケネの墳墓を発掘した私の鋤と鍬とは、幼少の時に最初の八カ年を過したドイツの小村で早くもきたえ磨かれていたといってよい」(『古代への情熱―シュリーマン自伝』村田数之亮訳、岩波文庫)と記しています。
 彼は、少年のころ、父からトロヤ戦役伝説の物語を聞くうちに、いつしかその実在を確信し、遺跡発掘を生涯の目標とすることを誓ったのであります。しかし彼は、たんに夢想に生きるだけの空想的ロマンテストではありませんでした。ロマンを実現するために、現実に挑戦し続けたリアリストでもありました。
 十四歳で実業中学校を卒業し、小さな商店に奉公してからの彼の人生は、努力、努力また努力の連続でありました。その努力のなかで貧困と不遇を克服。また十数力国語をマスターし、経済的にも成功し、四十六歳にして初めて発掘に着手、ついに少年の日の夢を実現しました。
 「努力は天才の異名である」といわれるように、努力なくして偉大な仕事を成し遂げた人はいません。皆さんも、これからさまざまな問題にぶつかり、悩み、試行錯誤を繰り返すかもしれません。しかし、そのときこそ「わが使命の開拓の鋤は、あの学園生活の春秋で早くも鍛え磨かれているのだ」と確信し、それぞれの使命の庭で、現実に挑戦しゆく努力を積み重ねていっていただきたい。
 ともあれ、私は皆さんを信じております。そして生涯、皆さんを守りぬいてまいります。皆さんこそ私の希望であります。愛する皆さん方のご健康と精進を祈りつつ、はなむけのメッセージとさせていただきます。

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