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日蓮大聖人・池田大作

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第十九章 下種三徳 人間革命の宗教の確立

講義「開目抄」「一生成仏抄」(池田大作全集第34巻)

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6  大聖人の三徳は学会に脈打つ
 創価学会は、初代会長牧口常三郎先生の時以来、下種仏法の可能性を深く信じ、また実践し、そして弘めてきました。それは、日本の仏教が総じて葬式仏教や観念論に陥って限界と無力さをさらけ出していくなかで、稀有なあり方をとったと見ることができるでしょう。
 たとえば牧口先生は、民衆一人一人が正しい仏法を、生活法、価値創造の法として生き生きと実践し、そして他の人にも弘めていくべきであることを強調された。次の先生の言葉は、下種仏法の本質を鋭く洞察されています。
 「最大のそれ(=目的観)は自分を意識しながらも、無限の時空に亘る大宇宙の法則を信じて、之れに合致することを生活の目的とするものである。無上最大の目的観によって指導された最高価値の生活、即ち最大幸福の生活は、総ての人類が受けると同様の利益を自分も均霑(=等しく潤う)せんとするのが、その最大たる所以である(中略)この最大の目的観は法華経に逢ひ奉るにあらざれば、到底出来ないようで、仏の開眼又は開目とは之を意味する者であらう」(『牧口常三郎全集』8)
 このように、人間が宇宙根本の妙法に合致することにより、生活に最高の価値創造をしていくことを目的とする教法が法華経であることを、牧口先生は示されているのです。
 また、第二代会長戸田城聖先生は、獄中の体験で「仏とは生命なり」と悟り、「われ地涌の菩薩なり」と自覚された。そして、「人間革命」の理念を高く標傍し、七十五万世帯の折伏を誓って広宣流布の激闘に立ち上がられた。戸田先生もまた、下種仏法の本質を深く体得された方でした。
 日蓮仏法こそ最高にして究極の「人間主義の宗教」です。そして、下種仏法で説く「人間の根本的な変革可能性」を根拠とする「人間主義」こそ、これからの人類が必要とする真のヒューマニズムであると、私はいやまして確信を深めています。
 私たちが進めてきた文化・平和・教育の運動も、この仏法の「人間主義」の表現であると言っても過言ではありません。私が世界の知性の方々と本格的に文明間対話を開始して、三十幾星霜が過ぎました。文化や宗教や思想の壁を越え、根本的な共通点を「人間」という一点に見据えて対話を繰り広げてきました。そして、日蓮仏法の人間主義の理念を「人間革命」と表現し、相互理解を深めてきました。
 一切は人間で決まる。そして人間自身の希望の変革は、世界をも変えていく。ここに、下種仏法の要諦があります。
 それを私は「一人の人間における偉大な人間革命は、やがて一国の宿命の転換をも成し遂げ、さらに全人類の宿命の転換をも可能にする」との「人間革命」の思想に託して語ってきました。
 これに対して、大歴史学者のアーノルド・トインビー博士も、高名な美学者のルネ・ユイグ氏も、”ヨーロッパ統合の父”クーデンホーフ=カレルギー伯も、世界の知性は皆、深き理解と賛同の声を寄せてくださった。
 なかでも、ファシズムと闘った闘士であったアウレリオ・ぺッチェイ博士は、かねてからの自説であった「人間性革命」を私との対談を経て「人間革命」と表現を変えられて、次のように語っておられました。
 「われわれはいまこそ初めて、長期にわたる全地球的な責務を担い、これからの各世代に、より生きがいのある地球と、より統治可能な社会を残さなければなりません。そのことを私たちが理解するのを助けてくれるのは、人間革命以外にはないのです」(『二十一世紀への警鐘』本全集4巻収録)
 人間主義の仏法を、世界中が待望する時代を迎えました。まさしく、人類全体の仏性を触発する壮大な下種の三徳の力を発揮すべき時代が到来しています。
 その創価の陣列が世界中にそろいました。皆さま方の荘厳な下種三徳の前進を、世界が見つめているのです。

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