Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第三章 新しい社会をめざして  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

前後
4  要するに、私たちの唯一の希望は、必要不可欠の第三の力の出現にありましょう。その力は、計画として、もはや、物質的開発から引き出された利益を配分するのではなく、人間を、今の誤りを補正する別の方向へ導き、彼のうちに眠り埋もれているものを再び浮かびださせるでしょう。この眠っているものとは、物質主義が一徹に否定している精神的なものへの本能的欲求と自覚です。
 いままで、このような運動は、宗教の支えなしでは生じえませんでした。世界の歴史の中で、人間に精神的真理を呼びさまし、精神的な方向へめざめさせることを、自らの仕事とし、与えられた使命としたのは宗教であったように思われます。ですから、私には、この宗教的基盤を保持している、たとえば仏教が、こういった覚醒運動に現実的に専心するということは、非常に大切なことだと思えるのです。
 ほかにも期待できる宗教があるかもしれません。残念なことに、カトリックにせよプロテスタントにせよ、戦闘的な教会の翼はすべて、再び聴衆をひきつけるために、マルクス主義のような物質主義的教義に対して扉を開き、それにおもねらなければならないと考えていることを認めなければなりません。教会は“近代的な”精神に順応しようとし、尻馬にのっかって自らを現代風化しています。教会は、こうして現在に適応することによって、救済の出口を宗教に求めている未来をふさいでいるのです。この誤解は悲劇的です。

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