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日蓮大聖人・池田大作

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第10回「SGIの日」記念提言 世界へ世紀へ平和の波を

1985.1.26 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

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23  相互理解と信頼の絆を
 今日、地球を南と北に分けているのは経済の発展度であります。しかし当然のことながら、その経済発展の度合いが、それぞれの国の文化領域全般の優劣を決定するものではありません。経済的に発展途上の国であっても、世界に誇りうる文化的財産を保有している例は少なくありません。それは人類共有の財産といってもよい。ちなみに、この地球に経済という視点ではなく、芸術、文学などというような別の次元からの光を当ててみれば、その多様性は目を見張るばかりでありましょう。そこには単純な南北の視点だけでは割り切れない豊かな世界像が現出するはずです。
 ともあれ、文化交流とは異民族、異文化を互いに認識し尊敬し合い、人と人との心を″平和の絆″で相互に結びゆく作業であります。
 民音創立者として、私は今後もこうした民衆の文化、芸術の交流を盛んにし、世界不戦への具体的一里塚としていく決意であります。
 もとよリアジアの平和と繁栄の構想は、その地域その国の民衆が主体的に作り上げていくべきものであります。否、それなくしてはアジアの恒久的平和はとうてい実現しえないといえましょう。またアジアの問題は、アジアだけで解決できるものではなく、ヨーロッパをはじめ世界の他の地域の問題と連動させて考えていく必要があることも当然であります。
 その意味からも、民衆の側からする平和へのダイナミックな取り組みが絶対の要請になっております。それこそが民衆の自発的な意志の開花した平和と文化の″緑の道″をアジアに貫通させ、また世界に広げていくものであると確信いたします。
 西暦二〇〇〇年まであと十五年。今世紀前半、三度までも不幸な世界大戦を経験した世界の国々は、今なお不信と対立の図式から完全に抜け出すことができないでおります。今こそ世界の民衆の力を総結集し、人類は不信と恐怖と対立から相互理解と信頼による平和と安定の時代へと流れを変えねばなりません。
 戦後四十年という時代の転換期にあたり、私自身、民衆が真に主役となる時代を築くために、本年も全魂で庶民の中に入り、恒久平和へ一歩前進の歩みを刻んでいきたい、と念じてやまないものであります。
 (昭和60年1月26日「聖教新聞」掲載)

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