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日蓮大聖人・池田大作

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嘱累品(第二十二章) 虚空会──「付嘱…  

講義「法華経の智慧」(池田大作全集第29-31巻)

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15  池田 人生、最後に何が残るのか。
 思い出です。生命に刻まれた思い出が残る。
 モスクワで会った作家のショーロホフ氏が、こんなことを言われていた。
 (=ノーベル文学賞作家。代表作『静かなドン』『人間の運命』。名誉会長との対話は、一九七四年〈昭和四十九年〉九月)
 「長い人生になると、いちばん苦しかったことは、思い出しにくくなります。長くなると、いろんな出来事の色彩がうすくなり、一番うれしかったことも、一番悲しかったことも、一切合切、過ぎ去っていきます」
 そして一呼吸おいて、こう言って微笑まれた。「私の言うことが真実だということは、池田さんが七十歳になった時にわかるでしよう」。味わい深い言葉です。
 一切は過ぎ去る。天にも昇らんほどの喜びも、死のうかと思うほどの苦しみも、過ぎてしまえば、夢のようなものです。そのうえで、私は「生命を完全燃焼させた思い出は、永遠に消えない」と言っておきたい。なかんずく広宣流布に燃やしきった思い出は永遠です。
 この世に生まれて、一体、何人の人を幸福にしたか。何人の人に「あなたのおかげで私は救われた」と言われる貢献ができたか。
 人生、最後に残るのは、最後の生命を飾るのは、それではないだろうか。
 「南無妙法蓮華経と我も唱へ他をも勧んのみこそ今生人界の思出なるべき」です。
 それが冒頭に話した戸田先生の「今日、死んだらどうするか」という思索の結論と言えるのではないだろうか。

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