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日蓮大聖人・池田大作

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第26巻 「奮迅」 奮迅

小説「新・人間革命」

前後
67  奮迅(67)
 新しい峰へ。希望の旅へ――。
 民衆詩人ホイットマンは高らかに歌った。
 「さあ、もはやここにはとどまるまい、いざ錨を上げて船出をしよう」
 戦う人生は美しい。戦う日々には、生命の燃焼と充実と歓喜がある。
 一九七八年(昭和五十三年)一月の初めに発表された広布第二章の「支部制」は、山本伸一の奮闘によって魂が打ち込まれ、組織の隅々まで新生の息吹にあふれていった。全国各地の各支部が、各部が、轟音を響かせ、広宣流布の新章節に、雄々しく飛翔していったのである。
 伸一は、三月の半ば、首脳幹部に語った。
 「ようやく支部制も軌道に乗りました。一つのことを決め、スタートさせたならば、本格的に軌道に乗るまでは、あらゆる角度から考え、さまざまな手を打ち続けていくんです。
 人間は、物事が軌道に乗ると、すぐに安心してしまう。すると、油断が生じ、組織の活動も惰性に陥り、マンネリ化していきます。それを、日々、打ち破っていってこそ、みずみずしい息吹で前進することができる。したがって、これからも『日々挑戦』なんです。
 広宣流布の道は険路です。平穏であるはずがない。必ず大難が競い起こるでしょう。ゆえに、全会員が決して堕ちることなく、幸せになるように、一人ひとりの胸中深く、創価の『師子王の魂』を打ち込む時なんです。それは、広宣流布に生き抜く『師弟の精神』です。『一人立つ心』です。私は、そのために生命を削ります。皆にもその決意がなければ、魔に翻弄されていきます!」
 学会は、この時、猛り立つ波浪のなかを突き進んでいた。宗門の悪侶らによる誹謗中傷が、日ごとに激しさを増していたのである。
 伸一は、今こそ、不撓にして不屈なる創価の「師弟の精神」が脈動した組織を、つくり上げなくてはならないと痛感していた。彼は、広宣流布を破壊せんとする魔軍の跳梁をひしひしと感じながら、雄々しき二十一世紀の広布の峰を仰いだ。

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