Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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序文  

「百六箇抄」講義

前後
1  百六箇抄(血脈抄) 弘安三年 五十九歳 与日興
 具騰本種・正法の実義本迹勝劣正伝、本因妙の教主本門の大師日蓮謹んで之を結要す。万年救護写瓶の弟子日興に之を授与す云云、脱種合して一百六箇之れ在り、 霊山浄土・多宝塔中・久遠実成・無上覚王・直授相承本迹勝劣の口決相伝譜、 久遠名字より已来た本因本果の主・本地自受用報身の垂迹上行菩薩の再誕・本門の大師日蓮詮要す。
2  【通解】この百六箇抄は、具に本種を騰すの正法の実義、言い換えれば、末法の正法である南無妙法蓮華経の真実の義を、脱益の釈迦仏法、下種益の南無妙法蓮華経を踏まえて、あらゆる角度から本迹の勝劣を明確に立て分けることによって、正しく後世に相伝するものである。
 本因妙の教主であり、独一本門の本仏たる日蓮が謹んでこの相伝を要約して結んだのが百六箇抄である。
 末法万年、未来永遠にわたって民衆を救済するために法水写瓶の直弟子たる日興にこの相伝を授与するものである。
 これは、脱益仏法についての本迹勝劣を説いたものが五十条、下種仏法についての本迹勝劣を説いたものが五十六箇条であり、合計一百六箇条からなっている。
 また百六箇抄は、文上の意においては霊山浄土、多宝搭中において久遠実成の教主大覚世尊より、日蓮がたしかに直授相承された本迹勝劣の口決相伝書であり、文底の意においては、久遠元初以来無始無終にわたって常住する本因本果の教主 霊山に迹を垂れて上行菩薩とあらわれ、末法に独一本門の本仏として再誕した日蓮が詮要した相伝書である。
3  【講義】この序として記述されている個所は、極めて簡潔な文章でありますが、ここには、百六箇抄のまさしく血脈抄である所以が明記され、更に本抄全体にわたる意味と概要が説かれているのであります。
 そこで、まず最初に、この序の意味を汲み取る前提とし、また同時に、百六箇抄の口伝を正しく理解するために、日蓮大聖人の仏法の根幹をなす哲理の一つである種・熟・脱の法門について概略しておきたいと思う。

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