Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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代表幹部研修会 名を残せ! 広布の戦に

1997.9.5 スピーチ(1997.5〜)(池田大作全集第88巻)

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1  火星探査車の名前は、元奴隷の庶民の女性
 わが同志が学会活動に生命を輝かせる宵の時刻――今の時期、南西の空に赤く輝く星がある。地球のとなりの「火星」である。
 その火星に生命の痕跡を見つけることができるかどうか。アメリカ航空宇宙局(NASA=ナサ)の「ロボット探査車」が、火星の大地を走行して調査を続けている。
 このロボットは、進路に障害物を見つけると、自分で判断して危険を回避する「考えるロボット」である。ロボットの命名を、ナサは世界の少年少女に公募して決めた。選ばれた名前は、有名な科学者や政治家などの名前ではなかった。一人の庶民の女性の名であった。それは「ソジャーナ」。ちょうど二百年前の一七九七年、ニューヨーク州に生まれた女性である。
 ソジャーナ・トゥルース(一七九七〜一八八三年)。彼女は奴隷の境遇から立ち上がって、黒人差別と女性差別に挑んだ女性である。
 当時、奴隷の両親のもとに生まれれば、家の主人の「所有物」であった。十代で他の家に売られた。彼女が産んだ子どもたちも非情に売られてしまった。
 こんな社会は間違っている! 彼女は泣き寝入りしなかった。
 彼女の「ソジャーナ」という名前には「旅人」という意義が込められている。「トゥルース」は「真理」。真理を求めての旅人である。その名のごとく、彼女は各地を旅しながら、「奴隷制度の廃止」のために戦った。「女性の権利の確立」を叫び続けた。
 読み書きもできなかった彼女の武器は、たった一つ。勇気凛々の「声」であった。
 彼女は言う。「私は本を読むことはできません。でも、人の心を読むことはできます」
 彼女には、学歴はなかった。しかし、気取りもなかった。あったのは、差別は絶対に許さないという「怒り」であった。何と批判されようと、正義は正義だという「確信」であった。そこから勇気がわき、智慧がわいた。
 叫ばずにはいられない。語らずにはいられない――その真剣さが、人々の心をつかみ、揺さぶっていったのである。
 私は、草創の婦人部の方々を思い出す。見栄もなく、気取りもなく、ただ、まっすぐに戦った、けなげなる方々――。
 ある時は、学校を出ていない婦人部の同志が大学教授を見事に折伏した。このことを聞いた戸田先生は、それはそれは喜んでおられた。
2  ソジャーナも、相手がだれであろうと胸を張って渡りあった。リンカーンはじめ歴代の大統領とも、ホワイトハウス(大統領府)で率直に、また大胆に対話を重ねた。言うべきことを言い切っていった。
 また女性蔑視の傲慢な聖職者を相手に、堂々と反論して打ち破った。彼女は何ものも恐れなかった。
 当時の馬車は、黒人の乗車を拒否していた。この差別とも、彼女は先頭に立って戦った。だれもが侮辱されることなく自由に馬車に乗れる――そういう平等な社会を創るために挑戦した。
 皆に笑われ、バカにされ、迫害され……その彼女の名前が今、宇宙船に乗って、火星にまで旅しているのである。全世界の人も、たたえている。
3  永遠の誉れの一生を!
 権力や人気に酔った人生は、むなしい。虚飾の名声は、時とともに色あせる。しかし、人間のため、民衆のために、難を受けながら戦った人の名前は、時とともに光を増していく。
 いわんや、不滅の妙法を弘めゆく、わが同志の名は永遠に不滅である。
 大聖人は、四条金吾の真心の供養に対して、こう仰せである。
 「頼基がまいらせ候とて法華経の御宝前に申し上げて候、定めて遠くは教主釈尊・並に多宝・十方の諸仏・近くは日月の宮殿にわたらせ給うも御照覧候ぬらん
 ――これは頼基(四条金吾)からの御供養ですと、法華経(御本尊)の御宝前に申し上げました。必ず、遠くは教主釈尊ならびに多宝如来、十方(全宇宙)の諸仏が、近くは天の宮殿におられる日天・月天も、明らかに照らし見ておられることでしょう――。
 日天、月天が、また釈尊はじめ全宇宙の仏が、きちっと私どもを見ておられる。「広宣流布の闘士」の誉れの名は、全宇宙の仏国土にまで輝いていくのである。

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